Letter

糖尿病:空腸の栄養感知は、非管理下の糖尿病で十二指腸空腸バイパス術によりグルコース濃度を急速に低下させるのに必要である

Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2745

胃腸バイパス手術は、2型糖尿病や肥満患者の代謝恒常性を回復させるが、その基盤となる機序は明らかではない。十二指腸空腸バイパス手術(DJB)は、栄養が十二指腸および近位空腸を通らないようにする実験的な外科手技で、非肥満2型糖尿病ラットでグルコース濃度を低下させる。DJBによって空腸への栄養流入が増加し、空腸における栄養感知が摂食に影響を及ぼすことから、DJB後に整復された空腸は、栄養によってグルコース恒常性が制御される接続点となる。今回我々は、正常ラットでの空腸内栄養投与は、基礎レベルの血漿インスリン濃度下で、腸-脳-肝ネットワークを通じて内因性糖産生を抑制することを見いだした。空腸でのグルコース取り込み阻害または長鎖脂肪酸アシルCoA生成は、正常ラットではグルコースまたは脂質の代謝作用をそれぞれ消失させ、非管理下のストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットではDJBによって急速に惹起された(術後2日)グルコース低下効果を再摂食の間に変化させた。またDJBは、インスリン欠乏型自己免疫性1型糖尿病ラットおよびSTZ誘発糖尿病ラットで、血漿インスリン濃度、摂食および体重変化とは無関係に、2日以内にグルコース濃度を低下させた。今回の結果は、空腸での栄養感知が血糖調節の役割を持つことを示し、この栄養感知とDJB後の血糖管理の早期改善との関連を非管理下糖尿病ラットモデルで明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度