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脂質代謝:肝臓のHdac3は脂質の合成および隔離を抑制して糖新生を促進する

Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2744

脂肪性肝疾患は肥満および2型糖尿病と関連づけられており、肝臓での脂質蓄積はインスリン抵抗性に影響を及ぼす可能性がある。ヒストンデアセチラーゼ3(Hdac3)は、肝臓の脂質生成における概日リズムを制御している。今回我々は、Hdac3が肝臓特異的に大幅に減少しているマウスでは、重度の肝脂肪症にもかかわらず、野生型のマウスと比べた場合、高いインスリン感受性を示すが、インスリンシグナル伝達あるいは体重には変化が起こっていないことを明らかにする。Hdac3の減少によって、代謝前駆体は脂質を合成して脂肪滴内に貯留隔離するという新規な経路に運ばれるようになり、肝臓でのグルコース産生には送られなくなる。脂肪滴を被覆しているペリリピン2は、Hdac3の減少によって発現が顕著に増加し、脂肪症の発症と耐糖能向上の両方を促進する。今回の結果は、ペリリピン2で被覆されている脂肪滴内への肝臓内脂質の隔離によって、インスリン抵抗性が改善することを示唆しており、Hdac3は肝臓の中間代謝の調節において概日時計からのシグナルを統合する、重要なエピゲノム修飾因子であることをはっきり示している。

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