Technical Report

がん:循環血中微小胞のタンパク質タイピングは膠芽腫治療のリアルタイム追跡観察を可能にする

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.2994

膠芽腫は、膜に包まれた微小胞を循環血中に大量に放出する。こうした微小胞は治療への反応性を調べるためのバイオマーカーになる可能性があると期待されているが、それらの性質を明らかにし、定量することは難しい。本論文では、膠芽腫患者の血液検体から直接得た血中微小胞をプロファイリングするための、高感度かつ高速の分析技術について報告する。この方法では、微小胞をまず専用のマイクロ流体チップ上に取り込み、標的特異的な磁気ナノ粒子で標識してから、小型化した核磁気共鳴システムにより検出する。この統合型検出システムは、現行の手法に比べて検出感度がずっと高く、多形性膠芽腫(GBM)の微小胞と宿主の非腫瘍細胞由来の微小胞を弁別できる。また、血中のGBM微小胞は原発腫瘍の変異解析にも使用でき、治療によって引き起こされる変化の予測指標としても使えることがわかった。この基盤的技術によって、薬剤効果の早期指標だけでなくヒト臨床試験のための分子的層別化の手段も得られると考えられる。

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