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神経変性疾患:ナラトリプタンは伸長ポリグルタミンリピート鎖が引き起こすCGRP1関連運動神経変性を軽減する

Nature Medicine 18, 10 doi: 10.1038/nm.2932

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子内のCAGトリプレットリピート伸長が引き起こす運動神経疾患である。今回我々は、病原性ARがカルシトニン遺伝子関連ペプチドα(CGRP1)をコードする遺伝子の発現上昇をもたらすことを明らかにした。神経細胞では、CGRP1の過剰発現はc-Jun N末端キナーゼ(JNK)経路の活性化を介して細胞損傷を誘導するのに対して、CGRP1あるいはJNKの薬理学的抑制は病原性ARの神経毒性作用を減弱した。CGRP1の欠損は、SBMAのマウスモデルでJNKを不活性化し、神経変性を軽減した。セロトニン1B/1D(5-ヒドロキシトリプタミン1B/1D、別名5-HT1B/1D)受容体アゴニストのナラトリプタンは、SBMAの細胞およびマウスモデルで、二重特異性ホスファターゼ1(DUSP1)の誘導を介してCGRP1の発現低下をもたらし、JNK活性を減弱し、病原性ARが惹起する神経障害を軽減した。これらの結果は、SBMAなどのポリグルタミン関連神経変性疾患の治療に、5-HT1B/1D受容体の薬理学的活性化が使用できる可能性を示唆している。

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