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脂質代謝:褐色脂肪組織活性はトリグリセリドの
クリアランスを制御する

Nature Medicine 17, 2 doi: 10.1038/nm.2297

褐色脂肪組織(BAT)は、脂肪酸を燃焼して熱を作りだすことで身体を寒さから守っており、ヒトにも存在することが最近明らかになった。トリグリセリドリッチリポタンパク質(TRL)は血中で脂質を運搬し、そこで脂肪酸部分がリポタンパク質リパーゼ(LPL)の作用によって切り離される。脂肪酸は筋肉や脂肪組織などの末梢器官によって取り込まれるが、残されたコレステロールに富むレムナント粒子は肝臓により取り除かれる。血漿中トリグリセリド濃度の上昇やコレステロールが豊富なレムナントの長時間の循環は、特に糖尿病性異常脂血症で心血管疾患のリスク因子となる。だが、TRLクリアランスにおけるBATの生物学的役割がどのようなものかは正確にはわかっていない。今回我々は、マウスで短時間の寒冷暴露によって引き起こされたBAT活性上昇が、TRL代謝を制御することを示す。寒冷暴露によってトリグリセリドのBATへの取り込みが増加した結果として、血漿中のトリグリセリドクリアランスが急激に促進され、この過程は局所のLPL活性と膜貫通型受容体CD36に非常に大きく依存している。病態生理学的状態では、寒冷暴露は高脂血症を正常化し、インスリン抵抗性の有害作用を改善した。BAT活性は、TRLの代謝回転を促進し脂質をBATへ送り込む代謝プログラムの誘導により、血中リポタンパク質の恒常性を制御すると、我々は結論する。BATの活性化は、ヒトでトリグリセリド濃度上昇を軽減し、肥満を解消するための治療戦略となる可能性がある。

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