Between Bedside and Bench

マラリアに挑む

Nature Medicine 17, 1 doi: 10.1038/jmedicine171_4

マラリアの病原体であるPlasmodium属原虫は、医学の追撃をほぼ「完璧に」かわしており、貧困と資源不足に苦しんでいるところが多い流行地域で何百万人もの感染者や死者を出している。マラリア原虫に対するワクチンの開発研究は数種の免疫学的戦略に注目したものだが、原虫制圧は未だにできていない。BEDSIDE TO BENCHではP L AlonsoとQ Bassatが、通常は熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)が引き起こす重症マラリアが、アフリカ以外の流行地域では三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)によって引き起こされるという最近の調査結果を検証している。どのような要因が加わって三日熱マラリアの病態が重症化しているのか、またこの原虫種により小児と成人で重症の病態がどのようにして引き起こされるのかが解明されれば、世界中でマラリアを根絶するための道を開く助けとなるだろう。BENCH TO BEDSIDEではM F GoodとC Engwerdaが、赤血球期の原虫を攻撃するワクチンでのCD8+ T細胞を基盤とする戦略がどの程度有用となりそうかを論じている。これらの免疫細胞を適正なワクチン接種で刺激することによって、原虫感染者でのマラリア発症防止が可能になるかもしれない。

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