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嚢胞性繊維症:CXCR2は嚢胞性繊維症気道炎でNADPHオキシダーゼ非依存的な好中球細胞外トラップ形成を仲介する

Nature Medicine 16, 9 doi: 10.1038/nm.2209

活性化された好中球は、抗菌性タンパク質が結合したDNA繊維を放出し、好中球細胞外トラップ(NET)を形成する。NETには殺菌性があり、自然宿主防御に寄与するが、NETの過剰形成は自己炎症性疾患の病因と関連づけられている。しかし、NET形成の調節機構はよくわかっておらず、特に慢性炎症で解明が進んでいない。今回我々は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)であるCXCR2がNET形成にかかわっていることを示す。下流のシグナル伝達経路の解析から、CXCR2を介するNET形成はNADPHオキシダーゼに非依存的であり、Srcファミリーキナーゼがかかわっていることが明らかになった。また、この機構が、慢性の好中球性炎症を特徴とする嚢胞性繊維症肺疾患の病態生理に関連していることを示す。嚢胞性繊維症患者および嚢胞性繊維症肺疾患マウスの気道液には大量のNETが存在し、NETの量と閉塞性肺機能障害との間に相関関係が認められた。in vivoで、気道内に小分子アンタゴニストを注入して肺のCXCR2を阻害すると、NET形成が阻害されて肺機能が向上したが、好中球動員、タンパク質分解活性あるいは抗菌性宿主防御への影響は認められなかった。今回の結果は、CXCR2がNADPHオキシダーゼに非依存的なNET形成を仲介する受容体であることを示しており、このGPCRシグナル伝達経路が嚢胞性繊維症肺疾患に対して有効な新薬の開発につながることを実証している。

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