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血液:冷蔵された血小板の排除における肝レクチン受容体の二重の役割

Nature Medicine 15, 11 doi: 10.1038/nm.2030

血液中の血小板では、急速な冷却によって表面上に糖タンパク質-Ib(GPIb)受容体のクラスターが形成される。肝マクロファージのβ2インテグリンがこのクラスター内のβ-N-アセチルグルコサミン(β-GlcNAc)残基と結合することにより、急速に冷却された血小板は、輸血後に迅速に排除される。短期間冷蔵された血小板の排除は、β-GlcNAcのガラクトシル化によるキャッピングで防止されるが、この方法は長期間冷蔵されたものには効果がない。本論文では、長期間の冷蔵では、血小板上に露出したガラクトース残基の密度や濃度が増加するため、肝細胞がAshwell-Morell受容体との結合を介して、血小板除去に次第にかかわるようになることを報告する。マクロファージは、血小板の保存条件にかかわらず、輸血された血小板の大部分を迅速に除去した。長期間にわたって冷蔵された血小板の場合は、肝細胞依存的な排除によって、輸血後の血小板の回復と生存がさらに低下する。β2インテグリンとAshwell-Morell受容体の両方による冷蔵血小板の排除の阻害は、血小板を冷蔵保存する簡便な方法となるかもしれない。

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