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Nature Medicine 15, 1 doi: 10.1038/nm0109-23

がん幹細胞はどこにでも 腫瘍幹細胞は腫瘍増殖の「種子」となる細胞だと考えられているが、こうした細胞を標的とする実験的な抗がん治療法に対して、新たな知見から疑問が投げかけられている。新しい腫瘍の「種子」になるのは腫瘍内のごく一部の細胞のみであることが免疫不全マウスを用いた実験によって示されており、このことから、威力ある腫瘍幹細胞の存在頻度はきわめて低いと考えられていた。しかし今回、E Quintanaたちはさらに高度の免疫不全を示すマウスを用いて、ヒト患者由来のメラノーマ細胞のほぼ27%が、「種子」として腫瘍を形成しうることを明らかにした。しかも、CD133のような広く使用されているがん幹細胞マーカーでは、メラノーマの発生源となる細胞を正しく特定できなかった。腫瘍幹細胞が、やはりそれほど稀ではないのならば、このような細胞を標的とする治療法の開発には価値があるのだろうか。また、こうした知見によって腫瘍の起源に関する研究はどう変わっていくのだろうか。これらの問題について3人の専門家に尋ねた。

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