Technical Report

結核:結核菌のマウス体内での存続に菌プロテアソームが必須であることのin vivo遺伝子サイレンシングによる同定

Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1683

結核菌(Mycobacterium tuberculosisMtb)がヒト病原体として繁栄しているのは、ヒト免疫系による菌根絶に抵抗できるためである。結核菌が体内で存続できる仕組みを突き止めることは、世界人口の3分の1に及ぶ結核潜伏感染を減少させる方法を見つけ出すために重要である。本論文では、結核菌がin vitroで最適に増殖するために必要な遺伝子が菌の病原性にも重要かどうか、また重要だとすると、感染のどの段階でその遺伝子が必要とされるのかを判定するのに、条件づき遺伝子サイレンシングが使えることを示す。マウスを使い、この方法を結核菌プロテアソームのコア部分をコードするprcBA遺伝子に適用したところ、意外にも感染慢性期の結核菌存続のためにプロテアソームコア部分が必要なことが明らかになった。インターフェロンγ欠損マウスであっても、プロテアソームの枯渇によって結核菌が減少したことから、結核菌のプロテアソームの機能は適応免疫応答に対する防御以上のものであることがわかる。in vitroin vivoもしくはその両方での増殖に必須の遺伝子群は、結核菌ゲノムのおよそ20%にあたる。したがって、条件づき遺伝子サイレンシングによって、結核菌の薬剤標的と推定される最大800か所の検証が促進され、宿主−病原体動態の解明も進むと思われる。

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