Letter

骨形成:v-ATPase V0のサブユニットd2を欠損するマウスは破骨細胞融合異常および骨形成増大を示す

Nature Medicine 12, 12 doi: 10.1038/nm1514

骨の恒常性は、骨基質を産生する骨芽細胞と、骨を吸収する破骨細胞によって維持されている。破骨細胞は、骨髄系細胞由来の単核の前破骨細胞の融合によって形成される造血系の多核巨細胞である。融合による巨細胞の形成は破骨細胞の成熟に重要であり、この過程を欠くと、骨吸収の効率は低くなる。破骨細胞が他の骨髄系細胞とどのように異なるかを理解するために、我々は以前、これらの細胞を対象に全mRNA発現パターンの比較を行い、破骨細胞で主に発現される機能不明の遺伝子群を同定した。その1つが、液胞型プロトンATPase(v-ATPase)V0ドメインのd2アイソフォーム(Atp6v0d2)である。本論文では、マウスでのAtp6v0d2の不活性化が、破骨細胞の形成不全および骨形成の増強に起因する顕著な骨量増加をもたらすことを報告する。Atp6v0d2の欠損は、破骨細胞の分化またはv-ATPase活性には影響せず、Atp6v0d2は前破骨細胞の効率的な融合に必要であった。骨形成の増大はおそらく、骨芽細胞の外因性因子の作用によると考えられたが、それはAtp6v0d2が骨芽細胞では発現されず、またex vivoでの骨芽細胞の分化はAtp6v0d2欠損により変化しなかったからである。これらの結果は、Atp6v0d2が破骨細胞融合および骨形成の調節因子であることを示しており、単一の遺伝子の機能を治療標的とすることで、破骨細胞の成熟阻害と骨形成の刺激が同時に可能なことを示す遺伝学的なデータとなる。

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