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免疫:Toll様受容体とヒアルロナンによる肺の傷害と修復の調節

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1315

急性肺傷害後の炎症と修復を調節するメカニズムは完全にはわかっていない。細胞外マトリックスに含まれるグルコサミノグリカンであるヒアルロナンは組織損傷後に産生されるが、クリアランスが不完全だと絶え間のない炎症を引き起こす。本論文では、急性肺傷害でヒアルロナン分解産物が炎症反応を開始するには、in vitroでもin vivoでもToll様受容体(TLR)4とTLR2の両方とMyD88が必要であることを報告する。急性肺傷害患者の血清から単離したヒアルロナン断片は、TLR4およびTLR2に依存してマクロファージケモカインの産生を刺激した。Myd88ー/ーおよびTlr4ー/ーTlr2ー/ーマウスでは、炎症性細胞の経上皮遊走が起こらないが、肺傷害後の生存期間の短縮と上皮細胞アポトーシスの亢進が認められた。高分子量ヒアルロナンを肺上皮細胞特異的に過剰発現させると、急性肺傷害に対して保護作用が見られた。また、上皮細胞表面のヒアルロナンは、部分的にはNF-κBの基礎活性のTLRに依存した活性化を介してアポトーシスに対して保護的に働いていた。ヒアルロナン-TLR2およびヒアルロナン-TLR4の相互作用は、炎症応答を開始し、上皮細胞の完全性を維持し、急性肺傷害の回復を促進するシグナルとなっている。

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