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パーキンソン病:ドーパミンはパーキンを共有結合的に修飾してその機能を不活性化する

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1314

パーキンをコードする遺伝子PARK2の変異を遺伝的に受けつぐと、脳幹の黒質および青斑でカテコールアミン作動性ニューロンの選択的な変性が起こり、その結果パーキンソン症候群が若年で発症する。しかし、一般的な孤発性パーキンソン病におけるパーキンの役割についてはよくわかっていない。本論文では、神経伝達物質ドーパミンが、生きているドーパミン作動性細胞でパーキンを共有結合的に修飾することを報告する。これによりパーキンの不溶性が高くなり、そのE3ユビキチンリガーゼ機能が不活性化する。孤発性パーキンソン病患者の脳ではパーキンの溶解性低下が観察され、これはパーキンの機能不活性化と矛盾しない。また、新しい生化学的手法により、カテコール修飾型のパーキンが正常なヒトの脳黒質中で検出されたが、他の領域では認められなかった。これらの結果は、パーキンはパーキンソン病で失われる主要伝達物質ドーパミンによる修飾を受けやすいことを示しており、これが加齢や孤発性パーキンソン病の際にドーパミン作動性ニューロンでパーキンの機能が徐々に失われる仕組みの1つであると考えられる。

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