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遺伝子治療:ソニック・ヘッジホッグ遺伝子による心筋の遺伝子治療:胚でのシグナル伝達の一過的再構築による組織修復

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1313

ソニック・ヘッジホッグ(Shh)は胚形成過程における器官発生に重要な調節因子である。我々は、ヒトShh(phShh)をコードする裸のDNAを心筋内に遺伝子導入することで、成体動物における急性および慢性の心筋虚血からの回復に対し、単に新血管形成を促進するだけでなく、胚形成においてこのモルフォゲンが担う役割と一致したより広範囲にわたる効果によって望ましい治療効果を促進できるかどうかを調べた。哺乳類の繊維芽細胞や心筋細胞では、Shh遺伝子導入の後にヘッジホッグ経路の亢進が認められた。これにより、急性慢性両方の心筋虚血で新血管形成の促進と繊維形成および心臓細胞のアポトーシスの減少により、左心室機能が維持される結果となった。また、Shh遺伝子の導入は、骨髄由来内皮前駆細胞による心筋での新血管形成の程度も高めた。これらのデータは、Shhによる遺伝子治療が、急性および慢性の心筋虚血患者で、成人心臓の多数の栄養因子発現の引き金となって組織修復を引き起こすことにより、少なからぬ治療効果を示す可能性を示唆している。

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