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免疫:リンパ球減少症やインターロイキン-2療法はCD4+CD25+調節性T細胞の恒常性を変化させる

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1312

CD4+CD25+調節性T(Treg)細胞は免疫寛容の維持に非常に重要な役割を担っている。生まれつきreg細胞を欠くマウスやヒトは重篤な自己免疫疾患を発症し、リンパ球減少症のマウスからTreg細胞を除去すると自己免疫が発生する。インターロイキン(IL)-2シグナル伝達は、Treg細胞の胸腺での発達、末梢での増殖およびその抑制活性に必要である。IL-2を欠く動物は自己免疫のため死亡するが、これはIL-2応答性Treg細胞の移入によって防ぐことができる。IL-2の主要な生理学的役割の1つは、Treg細胞の産生・維持であるという新たな証拠を考えると、Treg細胞に対するIL-2療法の影響はどのようなものなのかが問題となる。我々は、癌患者がIL-2療法を受けた場合と受けなかった場合について、免疫再構築の間のTreg細胞の観察を行った。CD4+CD25hi細胞は免疫再構築の間に末梢で恒常的な増殖が見られた。また、IL-2療法を受けたリンパ球減少症患者では、Treg細胞画分は著しく増加した。マウスを使った研究から、IL-2療法は正常の宿主では既存のTreg細胞の増殖を誘導すること、およびIL-2が誘導するTreg細胞の増殖はリンパ球減少によってさらに増強されることが示された。細胞1個あたりで見ると、IL-2療法によって生じるTreg細胞は、FOXP3発現が正常の宿主に存在するTreg細胞と同程度であり、同様の抑制能力を持っていた。これらの結果は、IL-2やリンパ球減少がCD4+CD25+Treg細胞の恒常性の主要な調節因子であることを示唆している。

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