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癌と免疫:リンパ球減少症の見られる癌患者でのワクチン接種と養子T細胞移入による免疫の回復

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1310

癌や慢性感染症の患者では、免疫不全がワクチン接種の効果を発揮させる上で妨げとなる。我々は骨髄腫に対する高用量化学療法および自己造血幹細胞移植を受けた後のリンパ球減少症を示す患者で、第1/2相の無作為試験を行った。in vivoでワクチンによってプライミングを受けex vivoで共刺激を受けた自己T細胞の、移植後早い段階での単一回細胞注入と、それに続く移植後の追加免疫感作という組み合わせの併用免疫療法により、高用量化学療法にともなう重度の免疫不全が改善され、成人で移植後1ヶ月以内に臨床的に適当なレベルの免疫の誘導が起こった。免疫アッセイにより、CD4 T細胞の数と機能の回復が促進されていることがわかった。ブドウ球菌エンテロトキシンBやサイトメガロウイルス抗原に対する応答で評価を行ったところ、ワクチンに含まれていない抗原に対するT細胞増殖のほうも、早期のT細胞注入によって有意に改善される結果となることが示された(P<0.05)。リンパ球減少症が生じる状況では、ワクチン療法と養子T細胞移入との併用は、増強された記憶T細胞応答の展開を助長するものである。

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