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免疫:CCL5-CCR5相互作用はウイルス感染時にマクロファージを生存させるための抗アポトーシスシグナルとなる

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1303

ウイルスに対する宿主防衛は感染した宿主細胞の選択的な細胞死と、それに続いて起こる死細胞のマクロファージによる排除におそらく依存している。このプロセスが効果を発揮するために、マクロファージは自身のウイルス誘導性細胞死を回避していると考えられる。本論文ではそのような機構の1つを突き止めたことを報告する。ケモカインCcl5を欠失するマウスでは免疫力が低下することにより、マウスパラインフルエンザウイルスまたはヒトインフルエンザウイルス感染の際にウイルス排除の遅れが生じ、過剰な気道炎症および肺臓死に至るほどになることがわかった。in vivoでのウイルス感染したマウスマクロファージのアポトーシス、またex vivoでのマウスおよびヒトのマクロファージのアポトーシスを回避するのには、ウイルスによって誘導される程度のCcl5レベルが必要である。Ccl5の保護効果には、ケモカイン受容体Ccr5の活性化とそれによって起こるGαi-PI3K-AKTとGαi-MEK-ERKシグナル伝達経路の両方の活性化が必要である。したがってスカベンジャー細胞は、ケモカインシグナル伝達の抗アポトーシス作用があることで宿主の細胞間感染プロセスを最終的に停止できるのだろうと考えられる。

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