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in vivoにおけるCTL逃避変異型免疫不全ウイルスの復帰

Nature Medicine 10, 3 doi: 10.1038/nm998

細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を引き起こすことは、HIVワクチンが達成すべき重要な目標と思われる。しかし、CTLは免疫による検出を逃避するウイルス変異体を選択する。ヒト集団でのこのような逃避変異体の維持は、HIVワクチン開発に対する障害をもたらし得る。我々は、不均一なサル免疫不全ウイルス(SIV)分離株における逃避変異が、新たな動物へ継代すると失われることを初めて見出した。そこで我々は、免疫学的に主要な3つのCTLエピトープに逃避変異を有するクローン化SIVをマカクザルに感染させ、感染後のウイルス進化を追跡した。本論文では、それぞれの変異エピトープの配列はin vivoで進化しつづけ、しばしば元のCTL感受性配列を再構築することを示す。我々は、CTL反応からの逃避はウイルスの適応度に対する代償を強いるかもしれないと結論する。新たな宿主へ伝達するときに選択圧が存在しないと、これら元の逃避変異は失われることがある。このことは、HIVのCTLエピトープのいくつかがヒト集団において維持される可能性を示唆している。

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