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ニューロメジンUはレプチンシグナル経路から独立した新規な食欲減少作用をもつ

Nature Medicine 10, 10 doi: 10.1038/nm1106

ニューロメジンU(NMU)は、体重や体組成を調節する視床下部性の神経ペプチドである。今回我々は、NMUをコードしている遺伝子を欠損したマウス(NMU-/-マウス)が肥満をきたすことを報告する。NMU-/-マウスでは、体重や脂肪の増加、過食、また運動量やエネルギー消費量の減少がみられる。肥満NMU-/-マウスでは、高レプチン血症、高インスリン血症となり、晩期には高血糖や高脂血症を発症する。しかしながら、外因性のレプチン投与は、肥満NMU-/-マウスの体重を減少させるのに著しく有効であった。さらに、中枢性にレプチンを投与しても、ラットの視床下部におけるNMU遺伝子発現には影響がなかった。これらの結果から、NMUは、レプチンシグナル経路とは独立して、摂食行動やエネルギー代謝の調節において重要な役割を果たしていることが示唆される。NMUのこれらの特徴的な作用は、肥満の病態生理基盤を理解するのに新たな識見をもたらすだろう。

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