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骨髄細胞のアデノシンA2A受容体の選択的不活化または再構成からこれらの受容体が虚血性脳障害の発症に大きくかかわっていることが明らかとなる

Nature Medicine 10, 10 doi: 10.1038/nm1103

アデノシンA2A受容体(A2AR)の不活性化は、虚血性脳障害およびその他の神経損傷に対して常に防御的にはたらくが、末梢の炎症細胞にあるA2ARとニューロンおよびグリア細胞で発現するA2ARの相対的寄与の割合はわかっていない。我々は、骨髄移植によって骨髄由来細胞(BMDC)上のA2ARが選択的に不活性化されているか、もしくは再構成されているキメラマウス系を作出した。BMDC上のA2ARに選択的再構成を起こさせると(野生型骨髄細胞を移植されたA2ARノックアウトマウス)、A2ARノックアウトマウスにおける虚血性脳障害はほぼ回復する。これとは逆に、BMDC上のA2ARの選択的不活性化を行うと(A2ARノックアウト骨髄細胞を移植された野生型マウス)、脳内の梗塞巣の大きさおよび虚血で誘導される複数の炎症誘発性サイトカインの発現が低減されるが、虚血性肝障害は悪化する。これらの結果は、BMDCにおけるA2AR刺激性カスケード反応は、虚血性脳障害の重要な修飾因子であり、また虚血性脳障害と虚血性肝障害はBMDC上のA2ARによって別々に調節されていることを示している。

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