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ヤセイカンラン:構造変異によって引き起こされる大規模な遺伝子発現の変化によってアブラナ科のヤセイカンランに形態型の多様化がもたらされる

Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-024-01655-4

世界中で野菜作物として栽培されるアブラナ科アブラナ属の植物であるヤセイカンラン(Brassica oleracea)には、商品作物として収穫される特殊化した肥大器官を特徴とする非常に多様な形態型がある。この特徴により、ヤセイカンランは急速な進化と栽培化を研究する際の理想的なモデル植物となる。我々は、ヤセイカンランの全ての形態型とその野生近縁種を代表する27の高品質ゲノムからヤセイカンランのパンゲノムを構築した。次に、ヤセイカンランの704アクセッションについて、ゲノムに存在する構造変異を同定し、グラフゲノムを用いた解析ツールを使ってそれら構造変異の特徴付けを行った。我々は本論文で、それらの構造変異が、数々の遺伝子の発現に対し二方向性の影響を及ぼすことを示す。すなわち、DNAのメチル化による発現抑制か、転写因子結合配列としておそらく働くことによる発現促進の2方向である。カリフラワーやブロッコリーにおけるBoPNYの発現促進とBoCKX3の発現抑制、キャベツにおけるBoKAN1BoACS4の発現抑制、およびハボタンにおけるBoMYBtfの発現促進は、構造変異が遺伝子発現を変化させることを示す例である。これらの結果は、構造変異が遺伝子発現において遺伝子量の調節因子の役割を果たし、ヤセイカンランの栽培化と多様化をもたらしたことを示す、確固とした科学的証拠を提供する。

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