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エピゲノミクス:DNAメチル化に影響する遺伝的多様性から得られた、ゲノム機能を調節する分子機構の手掛かり

Nature Genetics 54, 1 doi: 10.1038/s41588-021-00969-x

今回我々は、ヨーロッパ系3799人と南アジア系3195人から採取した血液試料を用いて、DNA塩基配列多様性とDNAメチル化の間の関係性を決定した。1116万5559のSNP–CpG関連が明らかになり[メチル化量的形質座位(meQTL)、P < 10−14]、そのうちの46万7915はトランスに作用するmeQTLだった。これらのmeQTLは、共通するクロマチン状態、ハイスループットの染色体コンホメーション相互作用、遺伝子発現や代謝多様性や臨床形質との関連といった機能的に関係のある特性に豊富に見られた。分子間相互作用解析と共局在解析から、meQTL座位と表現型の多様性とを結び付ける複数の核調節経路が明らかになった[UBASH3B(ボディーマス指数)、NFKBIE(関節リウマチ)、MGA(血圧)、COMMD7(白血球数)]。rs6511961については、ChIP–seq(chromatin immunoprecipitation followed by sequencing)により、ZNF333(ジンクフィンガータンパク質333)が、トランスに作用するエフェクタータンパク質であると考えられることが確認された。また、相互作用解析によって、集団特異的meQTLと系統特異的meQTLを明らかにした。それには、例えばFADS1内のrs174548があり、これはCD8+ T細胞で最も強い影響を示しており、脂肪酸代謝が免疫調節不全や喘息と関連付けられた。我々の研究は、遺伝的多様性をヒトの表現型に結び付ける潜在的な経路についての理解を深めるものである。

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