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DNAメチル化:多能性細胞では数千のメチル化された体細胞エンハンサーでTETがDNMT3活性と競合する

Nature Genetics 52, 8 doi: 10.1038/s41588-020-0639-9

哺乳類細胞では、DNAメチル化の正(DNMT3A/B)と負(TET1−3)の両方の調節因子が発現しているにもかかわらず、高レベルのDNAメチル化が安定して維持されている。本論文では、ヒトの胚性幹細胞(ESC)のノックアウト株のパネルを用いて、これらの調節因子がDNAメチル化の全体像に及ぼす影響(独立した影響および組み合わされた影響の両方)を解析した。全体的なメチル化レベルに及ぼす最も大きな影響は、DNMT3欠損細胞で観察され、数千の通常はメチル化される座位での局所的な脱メチル化が再現された。脱メチル化はTETの発現に依存していて、両方のDNMT3が存在しない場合にのみ起こった。動的なメチル化が起こる座位は、ヒドロキシメチルシトシンが豊富であり、ESCにおいてメチル化されていて、分化の際に活性化し得る、推定の体細胞エンハンサーのサブセットと重なっていた。同様の動態は、マウスESCで観察されたが、胚盤葉上層幹細胞(EpiSC)では頻度が低く、体細胞組織ではほとんど見られなかったことから、多能性に関連する保存された機構があると考えられた。総合すると、我々のデータから、多能性細胞内の数千の体細胞調節配列でDNMT3とTETの間に厳密に調節された競合があることが明らかになった。

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