Technical Report

統計学:52の疾患と複合形質において原因と遺伝的相関を識別

Nature Genetics 50, 12 doi: 10.1038/s41588-018-0255-0

メンデル無作為化解析は形質の因果関係を推定する方法であるが、病因が共有されていると遺伝的相関が生じ、妨害する影響を及ぼしてしまう。そこで我々は、潜在原因変数(latent causal variable)が遺伝的相関を調節するモデルを開発した。このモデルでは、遺伝的因果関係比(genetic causality proportion)を用いて、形質1が、潜在原因変数に強く遺伝的相関をする形質2に対して、部分的な遺伝的原因であることを定量化する。我々はこのモデルに、各形質に対する限界効果量の混合型4次モーメントのE(α21α1α2)およびE(α22α1α2)を当てはめた。つまり、形質1が形質2の原因であるならば、そのときは形質1(large α21)に影響を与えるSNPは形質2(large α1α2)に相関する影響を及ぼすと考えられるが、その逆は成り立たない。シミュレーションで、我々の方法は遺伝的相関による偽陽性を回避できた。メンデル無作為化解析ではこれを回避できない。我々は、52の形質(平均n = 33万1000)において、遺伝的因果関係比の推定値が高い30の因果関係を特定した。低密度リポタンパク質が骨密度の原因となることも新たに発見され、これは骨粗鬆症におけるスタチンの臨床試験結果と一致するものである。

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