Analysis

精神疾患:父親が高齢なことによる精神疾患発症リスクはde novo変異を主な原因としない

Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3577

父親が高齢である子は、統合失調症や自閉症といった精神疾患を発症するリスクが高くなっている。発症リスクを上昇させる基本的な要因は、父親の年齢に関連したde novo変異であると一般に考えられている。論理的に考えて、このような変異は発症に何らかの寄与をしているはずには違いないが、これとは異なる説明も提出されている(例えば、精神疾患の発症しやすさの上昇により、父親になる時期が遅れる可能性)。今回、主要なパラメーター(変異率、罹患率、遺伝率など)の経験的観察に基づいた集団遺伝学的モデルを用いて、父親の年齢と精神疾患との遺伝学的関連性について調べた。その結果、このようなモデルから、高齢の父親の子の精神疾患発症リスクの上昇について、加齢関連変異を主な原因とする可能性は大半において低いことが示唆された。一方、第一子が生まれた年齢と精神疾患に対する易罹患性との間の弱い相関を考慮したモデルで調べた場合、疫学的観察と一致が見られた。今回の結果は、de novo変異よりも高齢の父親と子で共通の遺伝学的リスク因子を持つことが、父が高齢である子における発症リスクの原因となっていることの、おそらくは事実に近いもう1つの説明であることを示唆している。

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