Analysis

組織特異性:ヒト組織特異的なネットワークにより多細胞性の機能と疾患を理解する

Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3259

組織や細胞種を識別する仕組みは、ヒトの生理や疾患に深く関わっている。複雑な組織や個々の細胞の系譜に関する遺伝的な基盤を理解することは、診断法や治療法の向上にとって極めて重要である。我々は144のヒト組織と細胞種に関するゲノムワイドな機能相互作用ネットワークを作成した。このネットワークは、データ駆動型のベイズ法を用いて、さまざまな組織や疾患の状態に関する数千の実験結果を統合することにより生み出された。この組織特異的ネットワークを用いることにより、経路を乱す刺激に対する系統特異的な反応の予測、組織横断的な遺伝子の機能上の役割の違いの同定、疾患間の関係性を明らかにすることができる。今回我々は、NetWASについて紹介する。これは、疾患と遺伝子の関連をGWAS単独よりも正確に同定すべく、名目上有意なゲノムワイド関連研究(GWAS)のP値や組織特異的なネットワークを用いて、遺伝子どうしを結び付けるものである。我々のウェブサーバーGIANTは、複数の遺伝子の問い合わせ(クエリ)、ネットワークの可視化、NetWASをはじめとする解析ツール、ダウンロード可能なネットワークといったヒト組織ネットワークへのインターフェースを提供している。GIANTは、100以上のヒト組織や細胞種を対象に、特化した細胞の機能を生み出す遺伝子の相互作用について、その全体像をシステマティックに探索することを可能にしている。

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