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バーキットリンパ腫:ゲノム、エキソームおよびトランスクリプトームの塩基配列決定を統合することで、バーキットリンパ腫においてID3遺伝子に変異が頻発することが明らかになる

Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2469

バーキットリンパ腫は、胚中心B細胞由来の高悪性度成熟B細胞リンパ腫である。細胞遺伝学的特徴は、バーキット転座t(8;14)(q24;q32)とその異型で、3つの免疫グロブリン座位のうちの1つにMYCがん遺伝子が並置する転座である。その結果、MYCの脱調節が起こり、遺伝子発現に大きな異常が引き起こされる。しかし、MYCの脱調節のみでは、バーキットリンパ腫の発生を引き起こすには十分ではないと考えられる。免疫グロブリン遺伝子(IG)-MYC転座のある4つの典型的バーキットリンパ腫の全ゲノム、全エキソームおよびトランスクリプトームの配列決定によって、変異が頻発する7つの遺伝子を同定した。これらの遺伝子の1つであるID3は、バーキットリンパ腫において局所的なホモ接合性欠失がみられる領域に位置決定された。拡大コホートにおいて、分子的に同定されたバーキットリンパ腫53例のうちの36例(68%)に、ID3の有害な変異がみられた。これらの変異は体細胞超変異モチーフに非常に豊富に存在した。IG-MYC転座のある他のB細胞リンパ腫47例のうちの6例(13%)にのみID3の変異がみられた。これらの知見は、ID3の不活性化とIG-MYC転座の間の協調がバーキットリンパ腫の発生の特徴であることを示唆している。

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