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大麦の進化:Antirrhinum CENTRORADIALIS遺伝子ホモログの自然変異が栽培大麦の春に成長する性質と環境への適応に貢献した

Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2447

初期の農耕は、現在からおよそ1万年前に、近東地域の肥沃な三日月状の大地から広がってきたので、栽培種の穀物は生態系や環境の変化を数多くこうむってきた。開花の促進に長期の低温を必要としない春播きの穀類や、日長にあまり影響を受けず、高緯度の長い寒冷な日々を受け入れることができる穀類が現れ、定着してきた。こうした新たな環境に適応した遺伝的な経緯を調べるために、大きく分かれてしまった現代の春大麦と冬大麦の分岐に至った選択の証拠を明らかにした。遺伝的に分岐した領域の1つとして、Antirrhinum CENTRORADIALISHvCEN)遺伝子の大麦のホモログで、環境への適応に成功した原動力となった自然変異を同定した。大規模な野生種の収集と北欧の栽培種の所蔵を調べて、HvCEN対立遺伝子の分布については、農作化後の変異の獲得ではなく、元々存在していた遺伝的な変異体の選択と強化がかかわっていたことが示唆された。

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