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加齢黄斑変性症:まれにしか存在しないCFH変異は加齢黄班変性症の発症リスクを高めている

Nature Genetics 43, 12 doi: 10.1038/ng.976

加齢黄班変性症(AMD)に対する易罹患性の17%は、補体因子Hをコードする遺伝子(CFH)に高い頻度で見つかる2つの多型、Y402H置換(rs1061170, c.1204C>T)およびイントロン内SNPであるrs1410996によるものであるとされている。ところが、CFHが実際にAMD発症に関係しているかどうかは、その隣接転写産物とは対照的に、明らかになっておらず、さらに発症リスクに関連する変異対立遺伝子がどのように作用しているかについても知られていない。本論文では、きわめて低い頻度で見られ、CFHの機能に影響を与えない変異についての知見がその作用機序の手がかりになるのではないかと仮定し、遺伝子型決定および高速大量処理の塩基配列決定を行った。その結果、頻度が低く、かつリスクは高いCFHハプロタイプを検出した。問題のハプロタイプはc.3628C>T変異を有しており、変異の結果R1210C置換が生じる。この対立遺伝子は、これまでに非定型溶血性尿毒症症候群に関係しているとされており、CFHのC末端におけるリガンド結合を消失させる。AMD症例2,423例および対照群1,122例を対象にR1210Cに関する遺伝子型決定を行ったところ、高い浸透率(変異が症例40例に対して対照群1例という割合で存在。P=7.0×10–6)と、6年の早期発症との関連(P=2.3×10–6)が明らかになった。上記の結果は、CFHの機能喪失対立遺伝子によってAMD発症リスクが上昇する可能性を示唆している。今回の知見は、高頻度で複数存在する多型以外に、疾患原因変異として、まれにしか存在しないが発症リスクの高い変異が発見された最初の例の1つといえよう。

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