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ゲノム全体における活性化された調節領域でのヌクレオソーム減少の証拠

Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1400

クロマチン構造の変化がin vivo遺伝子発現と同時に起こることを最初に示唆したのは、遺伝子発現が活性化されたグロビン遺伝子やショウジョウバエの熱ショックタンパク質遺伝子の5’末端領域におけるヌクレアーゼ高感受性部位の同定であった。本論文では、in vivo条件下の出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeのゲノム全体にわたり、転写活性を示す遺伝子発現調節領域において、真核生物クロマチンの基本的反復構造単位であるヌクレオソームが減少しているという証拠を示す。我々は、細胞分裂を行う急速な増殖期では、ヌクレオソームの占める割合がプロモーターでの転写開始率に反比例することを見いだした。さらに、最も活発に転写される遺伝子をコードしている領域から、ヒストンH3およびH4テトラマーが部分的に脱落していることを観察した。熱ショックや炭素源変化が原因で引き起こされる転写プログラム全体の変更は、結果として、抑圧状態にあるプロモーター領域のヌクレオソームの占有率を増大させ、活性化されたプロモーターでは減少させた。ヌクレアーゼ高感受性部位は、酵母からヒトまでの生物種に存在し、その部位ではクロマチン構造がほどけている。クロマチンと転写装置において、それぞれの構成因子の配列および機能がこれらの生物種間で保存されていると仮定すると、プロモーター領域におけるヌクレオソームの占有率の変化は真核生物における転写調節の基本的特性と考えられる。

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