Nature Video活用事例

超新星爆発のしくみを再現する

質量の大きな恒星が一生の最後に起こす超新星爆発については、現代でもわかっていないことが多い。スーパー・コンピュータを利用した最新の研究は、超新星爆発の最初のわずか0.5秒の間に、物理的にどのような現象が起こっているのかを明らかにした。

コンピュータで超新星爆発を再現

突然、空に輝き出す超新星は、太陽の8倍よりも重い星が最後を迎えるときの姿であり、その明るさはときに銀河全体よりも明るい。この超新星爆発については、まだ多くの謎が残されている。映像で紹介されているのは、「何が超新星爆発を引き起こすのか」についての研究である。科学者は恒星の内部の様子を見ることができないため、どのような物理状況が爆発を引き起こすのかを知る唯一の方法はコンピュータでのシミュレーション、つまりコンピュータの中で恒星の爆発を再現することだ。

超新星爆発のメカニズムは非常に複雑で、現代の強力なスーパー・コンピュータを使うことでようやく、恒星が爆発する詳細な過程を三次元でモデル化することが可能になる。実際には0.5秒もかからない爆発を、スーパー・コンピュータがシミュレーションするために6ヶ月の時間を費やす。これほど膨大な時間がかかる計算だが、これまでの数多くの研究者の努力によって、超新星爆発を起こすメカニズムの理解を深めることができるようになった。

シミュレーションは、恒星の一生の終わりから始まる。水素が足りなくなってくると恒星は収縮しはじめ、鉄のコアが中心部に形成される。コアの物質はやがて重力によって崩壊し、中心部には都市と同じ程度の大きさの中性子星ができる。しかし、この中性子星には太陽よりも多くの物質が詰め込まれている。恒星のコアは恒星自体の数千分の一未満であるが、それでも直径数百キロメートルもある。崩壊する物質が中心で中性子星に衝突し、大量の衝撃波が中心から外側へ向かって跳ね返る(動画で衝撃波は明るい青色で示される)。ここまでは最近のシミュレーションで明らかになっていたのだが、衝撃波は中心部に向かってくる物質に衝突し、コアから抜け出すことができない。つまり、シミュレーションはここまでしか解析することができず、結果的に恒星は爆発を起こすことなく終わってしまう。

最新のシミュレーションでわかったこと

最新のシミュレーションで、ついに超新星爆発の状況を再現できた。物質の流れの小さな不規則性は、大きな振動へと速く増幅できる。これらは、中性子星周辺の物質が液体のように激しく振動する。その間に、中性子星内部でつくり出される素粒子であるニュートリノは、激しく揺れ動いて周辺の物質を強く加熱する。最終的に、ニュートリノの強力な熱は、これらの激しい運動による圧力と組み合わされて、衝撃波を外側へ押しやる。衝撃波はコアの外側に向けて加速され、恒星を爆発させる。これらのすべては0.5秒以内で起こり、衝撃波はおよそ1日で恒星の表面に到達し、私たちが観測するような激しい爆発現象をもたらす。

物理学者は超新星爆発に関する完璧な理解を手にしたとは言えないが、実際の観測と比べてシミュレーションの結果は、現時点で十分なレベルに到達している。

シミュレーションの重要性

観測機器の能力も格段に進歩しており、超新星が出現すれば、現代の探知機はこれまでにない精度で検出することができる。物質をたやすく通過することのできるニュートリノや重力波を検出することにより、天文学者は初めて爆発している恒星の内部を見ることができるようになる。しかし、そのようなデータを理解するために、天文学者はシミュレーションが不可欠だ。

私たちの銀河系に出現した超新星は1870年が最後と言われているが、一般に100年につき2個の割合で発生する傾向にある。超新星爆発をモデル化する研究者は、その機会に備えて研究を進めなければならないのだ。

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よみがえる謎の超新星

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180234

学生との議論

Lisa-Blue/E+/Getty

実は超新星爆発にはI型とII型があり、本文で取り上げた、太陽の8倍より大きな質量の恒星の最後に見られる超新星爆発はII型超新星と呼ばれる。

I型超新星はさらに分類されるが、特にIa型超新星はその超新星までの距離を知ることができるため、「宇宙の標準灯台」としてよく研究されている。一般に宇宙では、複数の恒星が力学的に結びついて存在している。一方の恒星が白色矮星へと進化したとき、対になっている恒星からガスが白色矮星の表面に降り積もり、やがてガスの質量が大きくなって自らの質量に耐えきれなくなり、崩壊してしまう。これがIa型超新星で、爆発の規模がほぼ一定であるため、同じ明るさで爆発することが知られている。光源の明るさと、光源までの距離には明確な関係式がある(同じ光源であれば、明るさは距離の2乗に反比例する)ため、距離を求めることができるのだ。

II型超新星に分類された超新星は、100日ほど輝き続けたあと暗くなっていくが、中には600日以上も輝き続けた超新星がある。このような超新星爆発のメカニズムはよくわかっておらず、この状況を説明するための理論モデルが研究されている。

学生からのコメント

原口 敬吾

実際にはわずか0.5秒に満たない超新星爆発の瞬間をシミュレーションするために6ヶ月もかかってしまうことを知った。科学技術の集大成とも言えるスーパーコンピュータでさえも、自然の驚異にはまだまだ程遠く、宇宙では私たち存在がいかにちっぽけなものであるかを実感した。(原口 敬吾)

高木 力

星とはただ「空にある」というだけの存在で、ほとんど関心をもたずに生活してきた。この動画を見て、こんなにも複雑な現象によって爆発することを知り、星に対して非常に興味をもった。100年に一度の割合で起こるという銀河系の超新星を、この目で見る日を期待したい。(高木 力)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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