Nature Gallery

とっておき年間画像特集2011

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2012.120207

原文:Nature (2011-12-22) | doi: 10.1038/480430a | Images of the year 2011

Daniel Cressey

科学画像のスケールは毎年のように広がり、我々人間は、2011年も驚くほど小さなミクロの世界から、太陽系のはるか辺境のすばらしい画像を手にしました。けれども、壮大なスケールの画像だけが2011年を象徴するものではありません。「人間の目」で見えるスケールの画像に、鮮烈な印象を与えるものも多かったことも2011年の特徴でしょう。日本を襲った巨大地震、チリの火山噴火、そして、こうした自然の驚異とは逆に、自然に脅威を与え続ける人間。そんな2011年を振り返ってみましょう。

エンデバー、最後のフライト
この光景を見ることはもうない。打ち上げから30年、135回のフライト、2つの大きな事故を経て、スペースシャトル計画は幕を閉じた。2011年5月に国際宇宙ステーションと最後のドッキングをしたエンデバーをはじめ、すべてのスペースシャトルはその役目を終え、博物館で展示されることに。

ISS: P. NESPOLI/NASA

ラット、怒りの衝動
「ラット」という言葉は、動物の名前ではあるが、それ以外にも日本語の「ねずみ」同様、卑劣なやつとか、こそこそ動き回るやつという意味がある。もちろん、ラットに罪はない。たが、こんな激昂ぶりを見ると、ネズミ恐怖症者がいるのも納得できる。ロシアの研究チームが、動物の家畜化に関する研究で、攻撃的なラットの系統を作り出して、おとなしいラットと比較した。どうやら従順で飼いやすい形質には、遺伝的素因があるようだ。

RAT: NATIONAL GEOGRAPHIC/GETTY IMAGES

このリース、何からできている?
ピッツバーグ大学(米国)の生物学者Donna Stolzは、25件以上の実験で撮影された哺乳類細胞の画像を組み合わせて、華やかなリースを作り上げた。この写真は、彼女の2010年のクリスマス・カードを飾り、2011年のニコン顕微鏡写真コンテスト「Small World」で入賞した。

CELLS: D. STOLZ/UNIV. PITTSBURGH/NIKON SMALL WORLD

ミクロの結び目
この長さ400µmのグラフェン製の結び目は、浙江大学(中国)のZhen XuとChao Gaoが作製した、ナノスケールの超絶妙技の賜物である。2人は、グラフェン酸化物の薄く平たい液晶を紡いで、数mの柔軟性のある繊維にし、グラフェンの糸に撚り上げた。

GRAPHENE: C. GAO

虹色に輝く翅
ヒメコバチ類の一種(Closterocerus coffeellae)など、一部の昆虫では、極薄の翅に虹色の干渉パターンが見られる。昆虫は視覚によるシグナル伝達法の1つとして、こうした干渉パターンを利用している可能性があることを、ルンド大学(スウェーデン)のEkaterina Shevtsovaらが報告した。

WINGS: E. SHEVTSOVA

地球への帰還
スペースシャトル計画が終了し、国際宇宙ステーションへの宇宙飛行士の送迎は、現在、ロシアのソユーズ宇宙船だけが行っている。帰還船の見た目は21世紀の宇宙船というよりも19世紀の釣鐘型の潜水装置のようだが、2011年11月、3人の宇宙飛行士を乗せてカザフスタンに無事着陸した。

SOYUZ: B. INGALLS/NASA

小惑星探査
NASAの探査機「ドーン」がとらえた、小惑星ベスタの傷だらけの表面。小惑星帯にあるベスタは直径530km。この画像はドーンがベスタの周回軌道に入ったときに撮影された。画像中央のクレーターには高さ15kmの山がある。このクレーターの起源も含め、ドーンは1年かけてベスタのさまざまな謎について探査する予定だ。

VESTA: NASA/JPL-CALTECH/UCLA/MPS/DLR/IDA

ウルトラ・フライ級の金属材料
タンポポの綿毛の上にふわりと乗っているのは、金属でできた微細な規則格子構造だ。この材料は、不規則構造を持つほかの超軽量材料のお株を奪ってしまうかもしれない。HRLラボラトリーズ社(米国カリフォルニア州マリブ)のTobias Schaedlerのチームは、ポリマー製の微細格子をニッケル−リン合金でめっきし、その後ポリマー部分を取り除いて、この超軽量材料を作り出した。

MICROLATTICE: D. LITTLE/HRL LABORATORIES

空飛ぶサイ
このクロサイは、南アフリカ東部の縮小する生息域から北のリンポポ州に移動するため、目まいを起こしそうなヘリコプターの旅に出たところだ。クロサイは今、絶滅の危機に瀕しており、保護活動が盛んに行われている。しかし、残念なことに、亜種であるニシクロサイは、2011年に公式に絶滅が宣言された13の種および亜種の1つとなってしまった。

RHINO: WWF/GREEN RENAISSANCE

ドッカーン!
2011年6月、チリのプジェウエ・コルドンカウジェ火山群で噴火が起こり、周辺地域に住む数千人の住民は避難を強いられ、隣国のアルゼンチンでも火山灰によって大きな被害を受けた。だが、写真の噴煙には、不謹慎ながら大自然の美しささえ感じる。

VOLCANO: C. SANTANA/AFP/GETTY

(翻訳:船田晶子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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