2007年3月号Volume 4 Number 3

Editorial

光の研究とその応用に取り組むフォトニクスの分野は、この50 年の間に現代の最重要実現技術の1 つにまで成長した。レーザー、発光ダイオード、低損失光ファイバー、CCD(電荷結合素子)検出器などのデバイスの開発は世の中を一変させ、データ通信、材料加工、画像処理、生物医学、照明、ホームエンターテインメントなどへの応用も著しい進歩を遂げている。

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News

「スペイン風邪」ともよばれる1918 年のインフルエンザでは世界中で約5000 万人が死亡したが、そのウイルスを実験室でマカクザルに感染させると死に至ることが報告された。この研究は、2005 年のNature に掲載されて議論をよんだウイルス塩基配列の論文1、および遺体からのウイルスの採取・復元とこのウイルスの病原性をマウスで評価したScience の論文2 の後に続くものである。

可視光を操作して逆向きに曲げることはできるのだろうか? そうだとしたら、光の波長よりも小さな物体の像を得るレンズや、中にあるものを見えなくするシールドなどのさまざまな未来の道具が、手を伸ばせば届きそうなところまで近づいてきたことになる。

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News Features

生態学史上最大のプロジェクト、全米生態観測施設ネットワークが幕開けを迎えようとしている。準備を進める組織関係者たちは、一見不可能なこのプロジェクトをうまく軌道に乗せることができるだろうか。そして、米国全土の生態系を観察しようという構想の裏で、ばらばらな状態の現場を1 つにまとめることができるだろうか。Michael Hopkin が取材報告する。

社会を操作するといえば、これまでは政治家と神の仕事だった。しかし、コンピューターネットワーク上の仮想社会が人々を引きつけている今、社会科学者や経済学者がこの仮想社会を利用し、政治家や神のまねをすることは可能なのだろうか。Jim Giles が報告する。

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Author

大学院生であるJake Bailey は、過去10 年間で最も重要な化石発見報告の1 つが解釈を誤っているのではないかと考えたとき、「ちょっと不安」になったという。しかしBailey は、南カリフォルニア大学(米国ロサンゼルス)の地球科学者で彼の指導教官であるFrankCorsetti に励まされながら、研究を推し進めた。

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Japanese Author

光を制御できるフォトニック結晶共振器を用いて、NTT 物性科学基礎研究所の研究グループが光を1 ナノ秒間閉じこめ、世界で初めて光の速度を5 万分の1 に抑えることに成功。超高速・大容量の情報処理技術につながるこの成果は、今年1 月に創刊されたNature Photonics 1 月号で発表された。チームリーダーの納富雅也特別研究員と測定を担当した田辺孝純研究員に、研究の目的や経緯、今後の展望などについて話を聞いた。

大阪大学大学院医学系研究科の長田重一教授らは、遺伝子操作したマウスから、関節リウマチが免疫細胞の1 つであるマクロファージの機能不全で起こることを明らかにした。根本的な治療法がない関節リウマチの治療薬の開発に1 つの扉を開く、この研究成果は、2006 年のNature10 月26 日号で発表された。長田教授に研究の経緯や意義、今後の展望などについて話を聞いた。

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News & Views

超流動ヘリウムの磁気噴水効果を観察することは、実験として美しいだけでなく、ほかの多くの不思議な磁気現象を研究するための手段にもなる。

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News

原子力発電所などから出る放射性廃棄物には、極めて長期間にわたって放射線を出し続けるものがある。こうした放射性廃棄物の漏れ出しを防ぎ、数千年も貯蔵することは、これまで専門家たちが考えていたよりもずっとむずかしいかもしれないことが、Nature 1 月11 日号に掲載された研究から明らかになった。報告したのはケンブリッジ大学(英国)のIanFarnan たちで、放射性廃棄物から出る放射線は、貯蔵材料の候補の1つに挙げられている物質を、考えられていたよりもずっと速く、わずか1400 年で耐久性の低いガラス質(非晶質)に変えてしまう可能性があるという。

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英語でNature

泥つきのままか、はたまたきれいに洗うべきか。ごぼうや大根の話ではなく、実はこれ、化石の話なのです。これまで古生物学では、化石は泥を落として、きれいに洗って保存することが当たり前とされてきました。しかしこれでは、古遺伝学の研究で有用な、古い時代のDNA は洗い流されてしまいます。 それでは、いったいどのようにして化石を保存処理するのが望ましいのでしょうか。ニュース記事に出てくる研究者が、それぞれどのような意見をもっているのかを整理しながら、読んでみましょう。

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