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移植幹細胞の運命は疾患に依存する

造血幹細胞(HSC)遺伝子治療は、血液・免疫系関連の遺伝的疾患の新たな治療法である。自己HSC遺伝子治療では、患者自身から採取した造血幹・前駆細胞(HSPC)のゲノムに治療用遺伝子を組み込んだ後、その修正HSPCを患者に戻して、患者の骨髄で血液細胞と免疫細胞の産生(造血)を再構築させる。IRCCSサンラファエレ科学研究所(イタリア・ミラノ)のAndrea Calabriaら1は、大規模な比較研究を行って移植された遺伝子修正HSPCの造血再生の動態を調べ、修正HSPCは患者の疾患背景によって決まる生理的ニーズに適応する能力を持つことを明らかにして、Nature 2024年12月5日号162ページで報告した。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 3

DOI: 10.1038/ndigest.2025.250346

原文

Disease background influences fate of transplanted stem cells
  • Nature (2024-10-23) | DOI: 10.1038/d41586-024-03112-y
  • Teng Gao & Vijay G. Sankaran
  • 共にボストン小児病院、ハーバード大学医学系大学院、ハワード・ヒューズ医学研究所、およびブロード研究所(いずれも米国)に所属

参考文献

  1. Calabria, A. et al. Nature 636, 162–171 (2024).
  2. Biasco, L. et al. Cell Stem Cell 19, 107–119 (2016).
  3. Scala, S. et al. Nature Med. 24, 1683–1690 (2018).
  4. Spencer Chapman, M. et al. Nature Med. 29, 3175–3183 (2023).
  5. Six, E. et al. Blood 135, 1219–1231 (2020).
  6. Hsieh, M. M. et al. Blood Adv. 4, 2058–2063 (2020).
  7. Goyal, S. et al. N. Engl. J. Med. 386, 138–147 (2022).