2005年7月号Volume 2 Number 7

Editorial

Nature 2005年5月26日号の鳥インフルエンザ特集では、人が大量感染して、世界的に大流行する恐れのある鳥インフルエンザへの各国の対応の進展、そこにみられる一貫性の欠如が浮き彫りにされている。しかし、これは大きな脅威であり、いくつかの重点的に推進すべき対策があることは十分に明らかである。

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News Features

東南アジアでやっかいな問題が起こっている。高病原性の鳥インフルエンザが風土病となっているのだ。何百万羽もの鶏が処分されたが、アヒルと野生の鳥が持続的な病原体保有宿主となっている。H5N1 ウイルスを根絶することはできないだろう。そして、人に感染する可能性は、H5N1 ウイルスが出現するたびにある。H5N1 ウイルスはまず、1997 年に香港と中国南部で発生し、6 人が死亡した。2003 年後半以降、ベトナム、タイ、カンボジアで50 人を超える人が死亡した。

ワシントンDCを拠点とするフリージャーナリスト、サリー・オライリーのブログ。インフルエンザの世界的流行に対する備えについて本を書くために取材を重ねてきたが、ウイルスに備えるための時間はもはやなくなったことを伝えたい。

インフルエンザの大流行に対抗するワクチンをつくる手だては既にある。しかし、資金や研究、そして政治をめぐる意見の相違は対策を手遅れにしかねない。Erika Checkが報告する。

インフルエンザが世界的に流行した際に犠牲者の数を減らせる薬は確かに存在する。とはいえ、各国の備蓄量はあまりにも少なく、また、危機が目前まで迫っている国々での備えが最も遅れているのが現状だ。Alison Abbottが報告する。

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Comment

中国にとっても世界にとっても、微生物によって急速にもたらされる脅威の中で、インフルエンザの世界的流行をしのぐものはない。そして、この万が一の事態に対する準備は、今すぐに行わなければならない。中国は今、何をなすべきか。米ロックフェラー大学のDavid Hoが検討した。

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News & Views

トラップされた中性原子間の相互作用は、これまで光時計の究極的な周波数標準として使うことができなかった。うまいトラップの方法が見つかればこの問題を回避でき、計時の限界をさらに広げることができるかもしれない。

植物ホルモンであるオーキシンが植物の成長に影響を及ぼす性質は、農業や園芸の分野でずっと以前から便利に使われてきている。なかなか正体のわからなかったオーキシン受容体が見つかり、植物細胞がこのホルモンタンパク質を「認識」し、それに応答するしくみが浮かびあがってきた。

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Local News Feature

2003年12月に、山口県の養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザが発生したことは記憶に新しい。さらに2005年6月には、茨城県でも弱毒性だが鳥インフルエンザが発生した。日本とっても、鳥インフルエンザはもはや「対岸の火」ではない。出現を目前に、わが国が進めている対策について報告する。

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