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正確かつ完全なヒトゲノム塩基配列が完成
テロメア・ツー・テロメア(Telomere-to-Telomere;T2T)コンソーシアムは、ヒトゲノム解析の歴史に大きな一歩をしるした。実質的に完全なヒトゲノム塩基配列の解読をScience 2022年4月1日号で報告したのだ1。「T2T-CHM13」参照配列と呼ばれるこの画期的なリソースは、既存のヒトゲノム参照配列2–4では配列を決定できずにギャップとして残されたゲノム領域を含んでおり、こうした参照配列に代わって利用されるようになるだろう。T2T-CHM13参照配列は、その構築を可能にした洗練された手法も含め、多様な人々のゲノム参照配列を構築する道を開くものである。
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翻訳:藤山与一
Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 9
DOI: 10.1038/ndigest.2022.220943
原文
The first complete human genome- Nature (2022-06-16) | DOI: 10.1038/d41586-022-01368-w
- John T. Lovell & Jane Grimwood
- John T. Lovellと、Jane Grimwoodは、共にハドソンアルファ・バイオテクノロジー研究所 (米国アラバマ州ハンツビル)および、ローレンス・バークレー国立研究所(米国カリフォルニア州バークレー)に所属。
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ヒトゲノム解読のこれまでの歩みについては、下記をご覧ください。
2011年5月号『ヒトゲノム解読から10年ーお楽しみはこれから』
2014年6月号『「1000ドルゲノム」成功への軌跡』
2015年2月号『「プラチナ」ゲノムで疾患に迫れ』
2016年1月号『ヒトゲノム計画25年の軌跡』
2020年8月号『ヒトゲノムを解明する能力が一段と向上』
2021年9月号『ヒトゲノムの完全解読は近い:ギャップはいかにして埋められたか』
参考文献
- Nurk, S. et al. Science 376, 44–53 (2022).
- Lander, E. S. et al. Nature 409, 860–921 (2001).v
- International Human Genome Sequencing Consortium. Nature 431, 931–945 (2004).
- Schneider, V. A. et al. Genome Res. 27, 849–864 (2017).
- Hoyt, S. J. et al. Science 376, eabk3112 (2022).
- Altemose, N. et al. Science 376, eabl4178 (2022).
- Zhou, J. et al. Nature Genet. 51, 973–980 (2019).
- Rheinbay, E. et al. Nature 578, 102–111 (2020).
- Aganezov, S. et al. Science 376, eabl3533 (2022).
- Wang, T. et al. Nature 604, 437–446 (2022).