がん遺伝子やがん抑制遺伝子には、変異によりがん化につながるものが多数知られているが、がん遺伝子の変異はこれまで「ほぼ決まった領域で生じ、単独」とされてきた。国立がん研究センターの片岡圭亮分野長らはこのほど、「2つ目の変異が入りやすいがん遺伝子」を発見。変異の生じ方を調べていくと、新たな発がん機構が見えてきた。
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–– がん遺伝子で生じる変異について、新たな発見ですね。
片岡氏:これまでに、変異が入るとがん化を促進するがん遺伝子やがん抑制遺伝子がたくさん見つかっています。車で例えると、がん遺伝子はアクセル異常、がん抑制遺伝子はブレーキ異常に当たり、共に不具合が生じます。このうち、がん遺伝子は「ほぼ決まった部位に、変異がただ1つ生じる」と考えられてきたのですが、今回の研究で私たちは、一部のがん遺伝子では、変異が2つ入る「複数変異」が生じやすいことを見いだしました。しかも2つ目の変異は、対をなす遺伝子のうち、1つ目の変異が生じた方の遺伝子に起こることも突き止めました。
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Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2020.200829