標的を定めた攻撃で造血幹細胞移植の安全性を高める
遺伝性疾患である鎌状赤血球症(写真)でも、造血幹細胞移植が有効であることが示された。 Credit: London Scientific Films/Oxford Scientific / Getty Images Plus/GETTY
造血幹細胞移植は、血液がん、あるいは自己免疫疾患や遺伝性疾患の原因となる異常な造血幹細胞を、ドナーまたは患者自身の正常なもので置き換える治療法だ。最近、一部の自己免疫疾患や遺伝性疾患の治療にも造血幹細胞移植が有効だという報告が増えてきている。しかし、造血幹細胞移植は現在、主に血液がんに対する治療として行われている。効果的な治療法だが、前処置として既存の造血幹細胞(全ての血液細胞に分化できる骨髄の細胞)を根絶しておく必要があり、この前処置により造血幹細胞以外の重要な骨髄細胞も破壊され、大きなリスクを伴うからだ。造血幹細胞移植の適応拡大のため、科学者たちは、造血幹細胞だけを標的として選択的に破壊する方法を模索してきた。
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翻訳:藤山与一
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 3
DOI: 10.1038/ndigest.2020.200310
原文
Targeted attacks could make blood-stem-cell transplants safer- Nature (2019-11-29) | DOI: 10.1038/d41586-019-03601-5
- Heidi Ledford