Where I Work

Gladys Ngetich

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2020.200256

原文:Nature (2019-10-22) | doi: 10.1038/d41586-019-03077-3 | The jet engineer

Virginia Gewin

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LEONORA SAUNDERS

私は多くの時間をジェットエンジンと過ごします。私の研究テーマはジェットエンジンの改良だからです。これはコンコルドのエンジン。私がいる研究所の1階に置かれています。エンジンの各種部品の場所を示すのに使う展示用モデルです。

ジェットエンジンのタービンの温度は2000℃にもなります。私は、より少ない空気でタービンを冷却する方法や、二酸化炭素の排出量を減らす方法を研究しています。この研究所には20の研究施設があり、そのうちの1つに長さ1mの風洞設備があります。私はそこで、さまざまなデザインのタービンブレードをコーティングする薄膜の性能を調べています。

設備内のタービンの模型は、圧力モニター用チューブや小型温度センサーと接続されています。装置が巨大なので、部屋ではデータを記録するコンピューターテーブルの前に座るのがやっとです。この装置は耳を聾するような音を立てる上、実験にはしばしば紫外線を使います。ですから皆、イヤープロテクターと保護メガネの装着が必須です。

自分たちのモデルが正確か調べるにはこの装置が必要ですが、私は博士課程学生なので、装置を使える時間は限られています。実験が円滑に進むように、データの処理と分析は、同僚がほとんどいない早朝か深夜、もしくは週末に行うようにしています。

4年前に博士課程のためにケニアから英国に来て以来、困難に突き当たったときに頼りにしているものがあります。それは、集中力を高めるための個人的な儀式です。スワヒリヒップホップとも呼ばれるボンゴ・フレーバーなどのノリのいいダンスミュージックを聞くのです。うまくいかないとき、脳をリズムに乗せればリラックスして問題を解決できます。ジョギングと同じです。作業スペースには私と音楽と実験装置だけにして、気が散らないようにしています。

実験の終わりが見えてきた今、ストックホルム症候群のような妙な気持ちです。この場所で長い時間を過ごしたので、愛着が芽生えたのです。ここを去ったら、きっと恋しく思うでしょう。

(翻訳:三枝小夜子)

Gladys Ngetichはオックスフォード大学(英国)熱流体研究所の博士課程学生。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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