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父親由来のミトコンドリアがたどる運命

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 4 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190430

原文:Nature (2019-01-17) | doi: 10.1038/d41586-019-00093-1 | Mitochondrial DNA can be inherited from fathers, not just mothers

Thomas G. McWilliams & Anu Suomalainen

生物学の基本原則の1つに、「細胞内のエネルギー生成を担うミトコンドリアとそのDNAは、母親のみから受け継がれる」というものがある。しかし、時にはミトコンドリアが父親からも受け継がれることを示唆する興味深い研究が報告された。

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Ron Boardman/The Image Bank/Getty

真核動物(動植物や真菌類など)のDNAは細胞内の2つの区画に格納されている。すなわち、核と、ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官である。ミトコンドリアは栄養素をエネルギーに変換し、そのおかげで細胞は正常に活動することができる。ヒトの核には遺伝子の大半が存在し、46本の染色体に高密度で格納されている。これらの染色体の半数は母親の卵に由来し、半数は父親の精子に由来する。それに対して、ミトコンドリアのDNA(mtDNA)は、母親の卵細胞のみに由来し、父親の寄与はないと考えられていた1。しかし、シンシナティ小児病院医療センター(米国オハイオ州)および広西チワン族自治区婦幼保健院(中国)のShiyu Luoらは今回、ヒトのmtDNAが母親のみから継承するというこの定説に疑問を呈している。彼らはProceedings of the National Academy of Sciences 2018年12月18日号2で、稀に父親がmtDNAを子に伝える可能性もあることを示す有力な証拠を提出したのだ。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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