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逆向きの骨代謝経路を発見! 骨形成に寄与

本間 雅

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 1 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190119

骨は、破壊・吸収と新生をバランスよく行うことで、構造と機能を保っている。これまで、こうした骨代謝のカギは「骨細胞由来の生理活性物質(RANKL)」から「破骨細胞にある受容体(RANK)」へのシグナル入力にあるとされてきた。今回、東京大学医学部附属病院 薬剤部の本間雅講師らは、従来とは逆向きのシグナル伝達、すなわち、破骨細胞のRANKがリガンドで、骨芽細胞のRANKLが受容体として機能する経路があることを明らかにした。さらに、この経路が骨芽細胞の分化成熟と骨形成に寄与していることも突き止め、骨粗しょう症の新たな創薬ターゲットになる可能性を見いだした。

–– 骨代謝のシグナル伝達について、創薬につながり得る成果を上げられました

本間: そのように期待されることが多いのですが、薬につなげるにはこれまでとは違った難しさがあると思っています。私が所属する薬剤部では、さまざまな診療科と連携しながら、がん、認知症、生活習慣病などの慢性疾患の治療標的研究を進めています。骨代謝異常も、その1つです。例えば、閉経後の女性に多い骨粗しょう症は、骨折をきっかけに全身の機能低下を招くことが少なくありません。

–– まず、骨代謝について簡単にご説明ください。

本間: 骨は、一見、何の変化もないように見えますが、絶えず、古くなった部分が破壊・吸収され、空いたスペースに新しい骨が作られています。このサイクルにおいて、破壊・吸収と新生のバランスが維持されることで、骨の健康が保たれます。骨粗しょう症は、骨の破壊・吸収に新生が追い付かないために骨がスカスカになってもろくなり、変形したり折れたりといったリスクが高まる病気です。

骨代謝に関わる細胞は3種類あります。破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞です。破骨細胞は古くなった骨を壊して吸収する細胞で、血球系の前駆細胞から分化して供給されます。小さな破骨前駆細胞には核が1つしかないのですが、分化する過程で多核化し、サイズも大きくなります。骨芽細胞は間葉系の前駆細胞から分化供給されます。骨芽細胞の役割としては、コラーゲンなどの骨基質を分泌して破骨細胞により破壊・吸収されて空いた場所を埋めることや、コラーゲン線維の石灰化(リン酸カルシウムの結晶化を促す機能を持つ小胞を放出する)、また一部の骨芽細胞は、骨基質内に侵入し、そこで骨細胞に分化することなどが分かっています。骨細胞は、樹状細胞のように四方八方に突起を伸ばし、互いに結び付いて網のような構造を作ります。3種の細胞の中で最も数が多く、石灰化への関与、物理的なストレスの感知との関連などが示唆されています。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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