日本には450万人を超える認知症患者がいて、その7割弱がアルツハイマー病だとされる。他国も同様で、製薬会社はこぞってアルツハイマー病の治療薬やワクチンを開発しているが、失敗が相次いでいる。敗因の1つに「投与するタイミングが遅すぎる」可能性が示唆されている。このほど、国立長寿医療研究センターと島津製作所が中心となり、アルツハイマー病の病変(脳内アミロイドβ蓄積)の有無をごく初期から検出できる血液バイオマーカーを開発した。
Aβが重合して塊を作ると、神経細胞を傷害する。 Credit: JUAN GAERTNER/SPL/Getty
–– アルツハイマー病の病態研究を一貫して続けていらっしゃいます。
柳澤: はい、約30年にわたり研究を続けています。元は神経内科医でしたが、私の外来を受診されたアルツハイマー病の患者さんに何もできなかったことが、研究を始める動機になりました。アルツハイマー病の患者さんは、外見が正常で普通に会話ができる方も多いのですが、少し前のことを思い出せなかったり、生活の中の手順や段取りがうまくできなくなったりします。一方で、幻聴や幻視などを伴うことは少なく、他の認知症とは異なります。
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Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 4
DOI: 10.1038/ndigest.2018.180424