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隕石が作るダイヤの姿

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180308a

六方晶ダイヤモンドの形成過程が高速X線写真で明らかに。

グラファイト(黒鉛)を含む隕石が地球に激突すると、衝突の熱と圧力によって炭素の形態が変わり、希少で非常に硬いタイプのダイヤモンドになる場合がある。この変化が原子レベルでどのように生じるのか、正確なところは長年の議論の的だったが、衝突の瞬間をシミュレートしてこの変化が生じる過程をリアルタイムで観察することにより、いくつかの疑問に答えられるようになった。

ワシントン州立大学(米国)の物理学者Yogendra Guptaらはアルゴンヌ米国立研究所にある衝突チャンバーを用いて隕石の衝突を模擬した。実験ではグラファイトの円盤めがけてフッ化リチウムの弾丸を秒速5.1kmで撃ち込み、衝突の様子を超高輝度のX線によって毎秒1500億フレームの速度で“撮影”した。

グラファイトからダイヤモンドへの遷移が、圧縮の過程で起こるのか、衝突後の変形と応力解放の組み合わせによるものなのかという問いに対し、「圧縮の際に起こることを明確に示しました」とGupta。具体的には、結晶構造から「六方晶ダイヤモンド」と呼ばれるこのまれなダイヤが、圧力50万気圧においてナノ秒の時間スケールで形成される。これは、六方晶ダイヤモンドが、従来考えられていたほどには激しくない衝突でも生じ得ることを示している。

以前の研究では六方晶ダイヤモンドの形成にはこの4倍近い高圧が必要とされてきたが、「異論も多かったのです」とGuptaは言う。以前の研究のほとんどはグラファイトをゆっくり圧縮した場合の原子構造の変化を調べていた。Guptaらの今回の実験はこれと対照的に、突然の衝撃を受けたグラファイトから衝突方向とまさに一致した向きに六方晶ダイヤモンドが直接に形成されることを示した。2017年10月のScience Advancesに発表。

「この研究の最もワクワクする点は、ある結晶構造から別の結晶構造へ変化する途中にある原子の正確な位置を突き止めた方法だ」とローレンスリバモア米国立研究所の物理学者Lorin Benedictは言う。

圧力が下がった後も六方晶ダイヤモンドはその形状を維持したが、応力がゼロになっても安定を保つかどうかを知りたいと、Guptaは考えている。そうした実験は工業用の人工ダイヤモンドの新製法につながるかもしれない。

(翻訳:鐘田和彦)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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