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周期表に4つの新元素が加わる!

Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2016.160305

原文:Nature (2016-01-04) | doi: 10.1038/nature.2016.19112 | Four chemical elements added to periodic table

Richard Van Noorden

原子番号113の命名権は>日本の研究機関に、115、117、118の命名権はロシアと米国の研究機関に与えられた。

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これまでの周期表では原子番号113、115、117、118の元素の欄は埋まっていなかったが、実際には何年も前から発見の報告があり、ロシア、米国、日>本の研究機関が、自分たちこそが発見者だと主張してきた。元素の発見者として公式に認定されるためには、独立の専門家グループによって証拠の有効性が認められる必要がある(表参照)。2015年12月30日、国際純正・応用化学連合(IUPAC;米国ノースカロライナ 州)が、ついに専門家グループによる検討結果を発表した。

4つの元素はいずれも、実験室で軽い原子核同士を衝突させる手法で作り出された。陽子と中性子が集まった不安定な塊は1秒にも満たない時間しか存続せず、崩壊して、より小さくて安定な 破片になってしまう。

新元素の発見者と認められた研究チームには、元素名とアルファベット2文字からなる元素記号を提案する権利が与えられる。元素名は、その化学的・物理的性質、神話の概念、鉱物、場所や国、科学者にちなんで付けられる。

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理化学研究所

113番元素の発見者として認められたのは日本の研究チームだった。これは東アジアで命名される初の人工元素になるため、彼らはとりわけ喜んでいる。12年前に彼らが初めてこの元素を合成したとき、その名前として提案され>たのは「ジャポニウム(Japonium)」だった。

理化学研究所仁科加速器研究センター(埼玉県)の森田浩介グループディレクターが率いる研究チームは、2004年に初めて113番元素の合成を報告し、2005年に2回目の合成に成功した後、2012年には、よ り信頼性の高い現象を観測することに成功した(Natureダイジェスト 2012年12月号「113番元素が確定か?」参照)。2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治・理化学研究所前理事長 は、研究チームが作った3個の113番元素は「化学者にとってはオリンピックの金メダルよりも価値があるもの」だと述べた。なお、野依前理事長は今回の研究チームのメンバーではない。

ロシアと米国の研究者も「113番元素を最初に発見した」と主>張していたが、IUPACと国際純粋・応用物理学連合(IUPAP;米国メリーランド州)の専門家チームは、その主張を認めなかった。

しかし、ロシアと米国の研究チームは、残り3つ(115、117、118)の新元素については発見者として認められ、命名権を 獲得した。IUPAC/IUPAPの委員会は、115番元素と117番元素は、ドゥブナ合同原子核研究所(ロシア・モスクワ)、ローレンスリバモア国立研究所(米国カリフォルニア州リバモア)、オークリッジ国立研究所(米国テネシー州)の共同研究チームによって最初に作り 出されたとした。115番元素については、ルンド大学(スウェーデン)の研究チームが重イオン研究センター(ドイツ)の加速器を使って行った研究など、他のチームの研究もその裏付けに一役買っている。

これまでに作り出された人工元素の中で最>も重い118番元素は、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンスリバモア国立研究所の共同研究チームが最初の発見者とされた。この元素には少々いわくがある。1999年にローレンスバークレー国立研究所(米国カリフォルニア州バークレー)が118番元素の作成に成功>したと主張したが、データの捏造が明らかになり、2年後に撤回しているのだ。

リバプール大学(英国)の原子核物理学者Rolf-Dietmar Herzbergは、今日の技術なら119番元素と120番元素も作れるはずで、物理学者たちはその合成に挑戦することにな るだろうと言う。現時点では、これらの元素を発見したという報告はない。重イオン研究所の研究チームは、2012年に5カ月にわたって合成に挑戦したが、失敗に終わっている。原子番号が120を超える元素になると、2つの原子核がうまく融合する可能性はゼロと言っ てよいほど小さいというのが、研究者たちの一致した見解だ。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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