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目に付く雑菌

Nature ダイジェスト Vol. 12 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2015.150909a

コンタクトを使うとやはり……

コンタクトレンズの使用者は、その便利さとともに、ありがたくない微生物を目に招き入れていることが多い。実際、ニューヨーク大学ランゴン医療センター(米国)の微生物学者チームの詳細な分類研究により、コンタクト使用者の目の表面には裸眼の人の目よりも多様な細菌がすみ着いていることが分かった。コンタクト使用者が、非使用者より目の感染症に7倍もかかりやすいのは、この違いで説明できそうだ。

同研究チームは目のマイクロバイオームをマッピングするため、コンタクト使用者9人と非使用者11人の眼球とまぶたから数百の試料を採取した。各試料の塩基配列を決定した結果、コンタクト使用者はメチロバクテリウム属とラクトバチルス属、アシネトバクター属、シュードモナス属の細菌を非使用者よりも約3倍多く保有していた。前者3つは一般に無害だが、シュードモナス属の菌が角膜の傷から侵入すると目の充血や痛み、かすみ目を引き起こし、治療せずに放置すると失明に至る場合もある。

研究チームのLisa Parkによると、これらの細菌は私たちの皮膚に見られる常在菌だ。つまり、コンタクトレンズを装着する際に、指に付いていた菌がレンズに付いて一緒に目に入った可能性が高い。これは、目のマイクロバイオームが瞬時に変化することを意味している。

今回の研究の別の結果がそれを裏付けている。コンタクト非使用者と使い捨てコンタクト使用者において、目にいる細菌の構成と当人の皮膚にいる細菌の構成を比較したところ、後者は前者よりもその構成がよく似ていたのだ。「決定的な関連とはいえませんが、とても興味深い結果です」とParkは言う。レンズ自体の物理的特性、例えば眼球に及ぼす圧力なども、細菌の成長を促している可能性がある。

試料から見つかった細菌株は総計約1万系統に上った。目に存在する微生物コミュニティーを患者ごとに正確に知ることで、それに合った抗生物質を使って感染症を治療できる可能性があると、シカゴ大学(米国イリノイ州)の微生物学者Jack Gilbertは言う。

だがコンタクト使用者がそもそも感染を避けるには、コンタクト使用の推奨ルールをきちんと守ることだろう。レンズに触る前によく手を洗い、レンズの洗浄・保存には新鮮な生理食塩水を使い、レンズの保存ケースを3カ月ごとに交換すること。そうすれば少なくとも、目を脅かす微生物が侵入する可能性は小さくなる。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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