2022年5月号
News & Views: 原子干渉計で地下のトンネルを検出
超低温の原子を使った量子センサーで重力の変化を感知し、都市の道路下の地下トンネルを検出できた。この研究結果について、量子センシングと地球物理学の観点から3人の研究者が解説する。
2022年3月号
News & Views: 量子論に虚数は不可欠か?
標準的な量子論は、負の数の平方根を含む。しかし、こうした虚数は理論に不可欠なのだろうか? 虚数を含まない、量子論と類似した理論が誤りであることを証明する方法が提案され、実数のみの類似理論が誤りであることが実験で確認された。
2022年1月号
News in Focus: 電子の固体状態の画像化に初めて成功!
電子が結晶化した状態である「ウィグナー結晶」は微小で壊れやすく、直接観察が極めて難しい。今回、デバイスをグラフェンで覆い、その上から観察することによって、この電子の結晶の顕微鏡での撮影が可能になった。
2021年9月号
News & Views: スクイーズド光で顕微鏡の感度を向上
生体組織の画像撮影において、分子内の振動からの光シグナルでコントラストを得ることは可能だが、このシグナルの検出は難しい。今回、スクイーズド量子状態にある光を使って、これまでは雑音に覆い隠されていた、分子振動のシグナルを検出する方法が実証された。
2021年7月号
News in Focus: 小さな太鼓で量子もつれを観測
巨視的物体の量子もつれの証拠が、振動するアルミニウム膜の研究で得られた。
2021年5月号
News in Focus: 最速の乱数生成器を開発
レーザーを使って毎秒250兆ビットの速度で物理的に乱数を作り出す装置が開発された。今後、必要な機能を1つのチップに載せた小さな素子ができるかもしれない。
2021年3月号
Where I Work: Clarice Aiello
2021年2月号
News in Focus: 量子コンピューターの開発レースに新たな動き
量子コンピューターの開発ではこれまで超伝導方式が主流だったが、大企業の数々から長く目を向けられることのなかった 「イオントラップ方式」が最近になって勢いを増している。
2020年11月号
News & Views: 一方向だけの超伝導を実現
ある方向の電流を流すと超伝導状態になるが、その逆方向の電流を流すと超伝導状態にならない(常伝導になる)薄膜が作られた。これは、電力消費が極めて低い電子工学素子の実現につながるかもしれない。
2020年10月号
News: エニオンの実験的証拠を観測
エニオンと呼ばれる奇妙な準粒子の存在が実験的に確認された。この成果は、エラーを起こしにくい量子コンピューターの実現につながる可能性がある。
News & Views: 量子揺らぎが巨視的物体の位置を変える
重力波検出器による精密測定を本来の限界を超えて改善する方法が報告された。また、量子揺らぎは巨視的物体の位置を変えることができることが示された。
2020年9月号
News in Focus: 宇宙にある極低温実験室で奇妙な物質状態を生成
国際宇宙ステーションの極低温実験室でボース・アインシュタイン凝縮体が生成された。量子物理学の謎をこれまで以上に詳細に探ることが可能になった。
News & Views: 衛星による1000km超の量子鍵配送を達成
量子鍵配送は、安全な通信を保証できる暗号技術だ。長距離の量子鍵配送が、信頼できる中継装置の必要性なしに可能であることが、人工衛星を使った実験で示された。
2020年5月号
News & Views: 三角形でトポロジカルなレーザー
量子カスケードレーザーと呼ばれる素子は、有用なテラヘルツ放射を作るが、その性能は通常、製造上の欠陥に非常に敏感だ。今回、この制約が、トポロジカル・ロバスト(頑健)性と呼ばれる性質を使って克服された。
2020年3月号
News & Views: 量子ゆらぎによる熱伝達を観測
真空の隙間で隔てられた2つの物体間で、量子ゆらぎによる熱輸送が可能であることが実験で示された。この効果は、ナノスケールの素子での熱伝達やその制御に利用されるかもしれない。
2019年1月号
News & Views: ボース・アインシュタイン凝縮を宇宙空間で実現
ボース・アインシュタイン凝縮体と呼ばれる変わった超低温気体が、初めて宇宙空間で生成された。宇宙での生成は、地上での生成よりもさらに低い温度を実現できるなど、さまざまな利点があり、この気体は宇宙を超高精度で調べる量子センサーにもなりそうだ。
2018年10月号
News & Views: マヨラナ粒子の証拠を観測
マヨラナフェルミオンと呼ばれるエキゾチックな粒子は、量子計算に応用できる可能性があるが、その存在はまだ決定的な形で確かめられていない。今回、2つの研究グループが、マヨラナフェルミオンと考えられる実験結果を得た。
2018年6月号
News & Views: ダイヤモンドで実現した室温連続放射メーザー
レーザーのマイクロ波版であるメーザーは、動作する環境が特殊であるか、通常の環境で動作するものは連続的に放射を出せないために用途が限られていた。今回、ダイヤモンドを使い、室温で連続放射するメーザーが開発された。
2018年1月号
News: 光子も「クーパー対」に 相当する対に
光子が、超伝導での「クーパー対」と共通する仕組みにより、物質中である種の対になるとみられることが分かった。
News & Views: 衛星を使った量子鍵配送と量子テレポーテーションに成功
量子通信は、古典的な通信方法に対して多くの利点を持つが、信号の伝送距離はこれまで数百kmが限界だった。今回、中国の2つの研究が人工衛星を使ってこの限界を破り、地球規模の量子通信ネットワークの実現に近づいた。
2017年10月号
News Feature: トポロジカル物質の未来
ごくありふれた物質の中に、奇妙なトポロジー効果が隠れているかもしれない。こうした効果を見つけることで、新粒子の発見や超高速トランジスターの実現、ひいては量子コンピューティングの開発に弾みをつける可能性がある。
2017年8月号
News: 二次元の磁石が誕生!
原子1個分の厚さのシート状磁石が得られたことで、これまでは不可能だった数々の実験が可能になると期待される。
News: 欧州の10億ユーロの量子技術研究計画
欧州は総額10億ユーロの量子技術研究計画を打ち出し、徐々に具体化しているが、課題も残っている。
2017年6月号
News: 汎用量子コンピューティング・サービスが始まる
量子コンピューティング技術は未完成だが、IBM社はその市場を創造するための汎用量子コンピューターとサービス提供プラットフォームの構築を計画している。
News & Views: 「時間結晶」を初めて実現
結晶は空間の中で同じ構造が繰り返される物質状態であり、それが自発的に生成する。一方、物理量が時間とともに周期的に振動し続ける自発的な物質状態を「時間結晶」という。時間結晶は仮説上の存在だったが、今回、2つの研究グループがある種の時間結晶を初めて作り出したと報告した。
2016年11月号
News: 宇宙の謎を解くカギ、ニュートリノ
ニュートリノと、その反粒子である反ニュートリノが異なるふるまいをすることが確認されれば、現在の宇宙に反物質がほとんど存在していない理由を説明できるかもしれない。
2016年10月号
News: 量子インターネットへの大きな一歩
量子暗号で保護された通信網を構築できる人工衛星が世界各国で計画される中、世界初となる量子科学実験衛星を中国が打ち上げた。
News & Views: 光解離反応で観測された量子効果
超低温の二原子分子が光を吸収して2個の原子に分裂する光解離反応で、驚くべき量子効果が初めて観測された。この研究は、量子光学の新たな研究の道を開く。
2016年9月号
News: arXivがリニューアルを計画
arXivは近くリニューアルを計画しているが、利用者へのアンケート調査の結果、利用者たちは現状に満足しており、大幅な変更には警戒感を持っていることが明らかになった。
2016年7月号
News: 量子の世界は直観できる?
人間の頭脳は、量子力学の奇妙な法則を、論理を介することなく理解できることが、ゲームによって示された。
2016年4月号
News: ホーキング博士の新論文に割れる物理学界
ブラックホールに「エネルギーがゼロに近いソフトな粒子」があるなら「ブラックホール情報パラドックス」という難問が解決され得るとする論文がarXivに投稿され、論争が起きている。
2015年10月号
News: ペンタクォークをLHCで発見
5個のクォークからなる短命で風変わりな粒子「ペンタクォーク」が、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での実験で発見された。ペンタクォークは、かつて日本の研究グループが発見したと報告したものの、その後の実験でその存在が否定されていた。
News & Views: スマホのカメラが分光計に?
カラフルな粒子のコロイド懸濁液をフィルターに用いることで、デジタルカメラやスマートフォンカメラを小型分光計に変身させられる技術が開発された。
2015年3月号
News Feature: 量子コンピューターが現実になる日
量子の奇妙な性質を計算に利用しようとする物理学者たちは、30年に及ぶ奮闘の果てに、ついにゴールが見えるところまでやってきた。
PR: アインシュタインの思考実験を実現
光や電子の波の性質を保ったまま、それらがたどった経路を知ることができるのではないか、という量子力学黎明(れいめい)期からの疑問を、「二重スリット」に見立てた酸素分子とX 線を使ったエレガントな実験で検証することに成功した。
2014年11月号
News: 被写体に触れていない光で写真を撮る
「量子もつれ」を使って、被写体を照らしていない光でその画像を得ることに成功した。
2014年8月号
News Feature: 地平線に見えてきた複雑性
コンピューター科学の分野で生まれたある概念が、基礎物理学においても重要な役割を果たし、時空の新しい理解への道を示す可能性がある。
2013年10月号
News: ナノ粒子温度計で生細胞の温度を測る
ダイヤモンド結晶における量子効果を利用して、微小なナノ粒子温度計が作製された。 これを生細胞内に導入すると、1000分の数ケルビンという高感度で、 細胞の温度変化をマッピングできる。
2013年3月号
News: 絶対零度より低温の量子気体
超低温原子が、絶対零度より低温の材料への道を開く。
2013年2月号
News Feature: 飛躍のときを迎えた量子シミュレーター
本格的な量子コンピューターが登場するのは、まだまだ先の話だ。その前段階として、量子系(量子システム)をシミュレーションできる機械があり、最近、それに対する関心がますます高まっている。
2012年11月号
News & Views: ついに実現した固体メーザーの室温発振
メーザー(レーザーのマイクロ波版)の技術展開がこれまで限られてきたのは、極低温が必要であるなど、動作条件が実用にそぐわないからであった。しかし今回、ついに室温で動作する固体メーザーが開発された。
2012年7月号
News: 論争が続くRNA研究
注目を浴びたRNA配列解読研究に、統計学的な欠陥があると異議が。
2012年2月号
News & Views: 動的カシミール効果を初めて検証!
物体の加速度運動に伴って量子真空から光子が生成する現象を、動的カシミール効果と呼ぶ。今回、鏡が超高速で動くのと同等の仕組みを、超伝導回路を利用した実験で実現し、この効果を初めて実証した。
2012年1月号
News & Views: ミクロの梁を光で冷やす
ナノメカニカル共振器、つまり機械的な共振を起こすナノスケールの素子を、レーザー光を使って最低エネルギー状態にまで冷やすことに米国の研究者らが成功した。これにより、量子力学の原理を検証したり、量子情報処理に応用したりする道が開かれた。
2010年12月号
NEWS@NATURE.COM: ノーベル物理学賞はグラフェンの革新的実験がスピード受賞
カーボンシートの研究が、2010年のノーベル物理学賞に輝いた。