Perspective
コンビナトリアル四量体染色とマスサイトメトリーによる解析はT細胞エピトープのマッピングおよび特性解析に有用である
Nature Biotechnology 31, 7 doi: 10.1038/nbt.2593
異なる個体でどのエピトープがT細胞によって認識されるかを予測することは、現状では不可能である。このことは、ワクチン接種後または病原体感染後のT細胞応答の詳細な解析および理解の障害になっている。今回、マスサイトメトリーをコンビナトリアルペプチド・MHC四量体染色と組み合わせることにより、多くのエピトープに特異的なT細胞を短時間で同時に発見し特性解析することができる方法を開発した。この方法で、T細胞の表現型および機能に関する他のマーカーを解析するための標識23種類以上を保持したまま、単一ヒト血液検体中の109種類ものペプチド・MHC四量体のスクリーニングを行った。ロタウイルスエピトープの候補77種類の中から、健常者血液中のヒト白血球抗原(HLA)-A∗0201に拘束性のT細胞エピトープが6種類特定された。ロタウイルスのVP3タンパク質のエピトープに特異的なT細胞は特徴的な表現型を示し、腸上皮に高頻度で存在していた。この方法は、感染症またはワクチンに対するT細胞応答の包括的解析に有用と考えられる。