The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

物質を原子1個ずつ、最大で256個までシミュレートする

Nature 595 2021年7月8日

今週号では、S EbadiたちとP Schollたちが、決定論的に準備された、最大でそれぞれ256個と196個の中性原子のアレイを用いたプログラム可能な量子シミュレーターを提示している。彼らは共に、現在使われている計算手法では到達限界にあるさまざまなアレイ配列において、量子相を生成し、特性評価することで、量子多体物理を調べるそうした系の能力を実証している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03582-4

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03585-1

2

レーザーによって形成される二次元電子状態

Nature 595 2021年7月8日

二次元(2D)材料によって、さまざまなエキゾチック現象の操作が可能になる。こうした現象の2つの代表的な例に、相関電子相の実現と量子ホール効果がある。2D系は一般に、層状材料を剥離したり、基板上で単層材料や数層材料を成長させたりすることによって得られる。今回W Zhangたちは、レーザーを用いて三次元材料中に2D電子状態を形成できることを実証している。より具体的には、この過渡的な2D状態は、電荷密度波材料の表面付近に形成された巨視的ドメイン壁に存在する。今回の結果は、光学的調節を用いて量子材料に2D電子状態を形成する新しい手法を提示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03643-8

3

サプライチェーンの多様性が都市の食料ショックを和らげる

Nature 595 2021年7月8日

食料供給ショックは世界的に増加している。今回A Mejiaたちは、米国における食料ショックのリスクとサプライチェーンの多様性を結び付ける強度–持続期間–頻度モデルを開発し、都市の食料サプライチェーンの多様化によって、深刻さが軽度から中程度の食料ショックに対する都市の耐性が高まることを明らかにしている。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01758-6

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03621-0

4

流体に富む海山の沈み込みの電磁気的撮像

Nature 595 2021年7月8日

巨大逆断層地震の抑制や促進における沈み込む地形の役割は、いまだ議論の的になっている。今回C Chesleyたちは、ニュージーランドのヒクランギ沈み込み帯北部で集められた海底の受動的電磁探査データと人工信号源電磁探査データを用いて、海山が活発に沈み込んでいる領域の電気抵抗率を絞り込んでいる。その結果、沈み込むプレート上の海山では、通常よりも多くの水の沈み込みが可能になることが明らかになった。前弧地域では、沈み込む海山の上にある、電気的構造が沈み込むプレートの海山に似た、堆積物に乏しいプレート境界も撮像された。この埋もれた海山は、突発型繰り返し地震や最近のゆっくりすべり地震に伴う地震活動と同じ場所にあり、沈み込む地形と前弧地域における流体に富む破砕帯の生成を関連付けている。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01703-7

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03619-8

5

高脂肪食は薄毛の原因となる

Nature 595 2021年7月8日

肥満症は多くの加齢関連疾患のリスクを高める。西村栄美(東京医科歯科大学ほか)たちは今回、マウスにおいて、高脂肪食などが原因の肥満誘発ストレスが毛包幹細胞に直接影響を及ぼし、薄毛を促進することを報告している。高脂肪食が活性化された毛包幹細胞を表皮分化へと向かわせ、その結果、これらの幹細胞が失われることが分かった。毛包幹細胞プールが減少すると、最終的に毛包が縮小して薄毛が引き起こされる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03624-x

6

宿主の飢餓が病原菌を増殖させる

Nature 595 2021年7月8日

低カロリー食は体重減少につながるが、そうした食餌の変化が腸内微生物相の組成に直接影響を及ぼすことも知られている。P Turnbaughたちは今回、小規模の介入試験で、厳しいカロリー制限が、体重減少や代謝の健康改善に加え、腸の微生物相の顕著だが可逆的な変化に関連することを示している。意外にも、観察された主な変化の1つは、腸内病原体であるディフィシレ菌(Clostridioides difficile)の増加であり、これには胆汁酸の減少が伴っていた。このようなヒト微生物相をマウスに移植するとこれらの表現型が再現されたことから、病原体が食餌と微生物相の相互作用に影響を及ぼしている可能性が示唆された。これは、代謝の健康改善を目的とした食餌介入を行う上で考慮すべき重要な事項となりそうである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03663-4

7

ラクダ科動物ナノボディのマウスモデル

Nature 595 2021年7月8日

R CasellasとJ Xuたちは今回、ラクダ科動物のナノボディのマウスモデルを開発したことについて報告している。このマウスモデルは、内因性の免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子の可変領域(VH)が、マウスのVHプロモーター、リーダーエキソン、下流の組換えシグナル配列を持つ、ラクダ科動物の重鎖抗体の重鎖可変領域(VHH)遺伝子(アルパカ18個、ヒトコブラクダ7個、フタコブラクダ5個)からなるカセットに置換されており、ラクダ科動物のVHH抗体を産生する。ワクチン接種に応答して生成された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)特異的なナノボディは、新しいエピトープを認識でき、いくつかの第一世代のヒトモノクローナル抗体が効かなくなった免疫回避変異株を強力に中和することが示された。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01721-5

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03676-z

8

COVID-19患者におけるSARS-CoV-2誘導性の自己抗体

Nature 595 2021年7月8日

A RingとE Wangたちは今回、ファージディスプレイに基づく方法[REAP(rapid exoproteome antigen profiling)]を用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した194人の血清を、内因性の分泌タンパク質や表面発現タンパク質のライブラリーと照合して、COVID-19患者では非感染者と比べて自己抗体の反応性が上昇していることを明らかにしている。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染のマウスモデルで、免疫調節タンパク質に対するこれらの自己抗体のサブセットの検証を行ったところ、自己抗体が疾患を増強する役割を果たしていることが裏付けられた。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03631-y

9

熱帯熱マラリア原虫に対する化学予防ワクチン接種

Nature 595 2021年7月8日

A Mwakingwe-Omariたちは今回、確立された実験手法を用いて、前赤血球期の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に対する防御を誘導している。無菌的で、純化され、凍結保存された熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイトを用いて、クロロキンあるいはピリメタミンによる予防処置を受けたマラリア感染歴のないボランティアに対して免疫感作を行った。その結果、肝臓に感染して少なくとも一部は複製するスポロゾイトを用いて免疫感作することで、感染に対する持続性のある防御が誘導され、この防御は、放射線照射された複製しないスポロゾイトで得られる防御よりも優れていることが実証された。注射する原虫の発育段階や用量を変えることで防御がかなり強化され、また異種株に対する完全な免疫はワクチン接種後少なくとも3か月間維持された。ワクチンには、自然界で循環している多様な熱帯熱マラリア原虫株に対する防御が必要とされるため、今回の結果は重要である。この知見は、このワクチンが実際の環境において、広範に防御性のある完全な免疫をもたらすのに適している可能性を示唆している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-01720-6

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03684-z

10

免疫回避におけるクロマチンのサイレンシング

Nature 595 2021年7月8日

免疫チェックポイント阻害剤ががん治療に有効なことは明らかになっているが、実際にはほとんどの患者で効果が見られない。これはおそらく、腫瘍がさまざまな戦略を進化させて、免疫系による検出を回避するためだろう。今回B Bernsteinたちは、CRISPR–Cas9を使って免疫チェックポイント療法に対するがん細胞の感受性を調節するクロマチン因子のスクリーニングを行い、ヒストンH3K9メチルトランスフェラーゼであるSETDB1が失われると、腫瘍が免疫チェックポイント阻害に感受性になることを明らかにしている。SETDB1は転位性遺伝因子と免疫関連クラスターを含むゲノム領域をサイレンシングするので、SETDB1が失われると、潜在性の調節因子の抑制が解除され、転位性遺伝因子特異的な細胞傷害性T細胞応答が引き起こされる。この研究によって、SETDB1が免疫療法の標的になる可能性が確かめられた。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03520-4

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