The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

人類のヨーロッパへの移動は古くて複雑だった

Nature 571 2019年7月25日

1978年にギリシャのアピディマ洞窟で発見された2点のヒト頭蓋化石「アピディマ1」と「アピディマ2」が、今回K Harvatiたちによって、年代の再測定を含め、再度調べられた。アピディマ2は、年代が17万年以上前でネアンデルタール人に最も似ていたのに対し、アピディマ1は、年代が21万年以上前で形態は初期のホモ・サピエンス(Homo sapiens)のものに似ていてることが分かった。これによってアピディマ1はヨーロッパで発見された最古の現生人類となり、ヨーロッパへの人類の移動が、古いネアンデルタール人から新しい現生人類への単純な入れ替わりではなく、より複雑なものであったことが示された。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02075-9

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1376-z

2

哺乳類の発生を横断する遺伝子発現

Nature 571 2019年7月25日

H Kaessmannたちは今回、哺乳類のヒト、アカゲザル、マウス、ラット、アナウサギ、ハイイロジネズミオポッサムと、外群として鳥類のセキショクヤケイの7つの主要器官について、初期の器官形成から成体に至る発生段階を通じて、トランスクリプトームを明らかにしている。彼らはさらに、これらのデータセットを用いて、哺乳類の種内と種間で、器官発生横断的な遺伝子発現と進化の比較解析を行っている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1338-5

3

哺乳類の発生におけるlncRNA

Nature 571 2019年7月25日

H Kaessmannたちは今回、同時に掲載される論文で示したように、7つの動物種について、7つの器官における複数の発生時点のトランスクリプトームデータセットを解析し、これらの種内および種間の器官に発現する長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)のカタログを作成した。これは、候補lncRNA、それらの発現パターン、発生過程での進化的保存についての情報源になる。また、複数の発生時点を横断して動的な発現パターンを示すlncRNAが特定された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1341-x

4

ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である

Nature 571 2019年7月25日

適応性熱産生は深部体温の調節や脂肪沈着の制御により、エネルギーの全体的な均衡に関わっている。この過程は、脱共役タンパク質(UCP)の活性に依存していて、UCPは長鎖脂肪酸(FA)が存在するとミトコンドリア内膜の透過性を高め、ミトコンドリアにATPではなく熱を産生させる。UCP1は褐色脂肪やベージュ脂肪の脱共役タンパク質であることが知られているが、他の全ての組織でH+漏出を行っているUCPの本体が何なのかは、まだ解明されていなかった。今回Y Kirichokたちは、ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体(AAC)が、UCP1を発現していないあらゆる組織のミトコンドリアでH+漏出を行っていることを明らかにしている。ACCはin vivoで2つの機能を持ち、ADPとATPの交換だけでなく、ATP需要が低い場合には脂肪酸の存在下で脱共役による熱産生を引き起こすことが分かった。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1400-3

5

複製フォーク保護の新たな役割

Nature 571 2019年7月25日

乳がん感受性遺伝子であるBRCA1およびBRCA2の役割の1つは、立ち往生した複製フォークを分解から保護することである。J Morrisたちは今回、フォーク保護に最も重要なのはBRCA1とPALB2との相互作用ではなく、BRCA1とBARD1との相互作用であること、この特別な相互作用はBRCA1中のプロリン残基を異性化してコンホメーション変化を誘導する酵素によって促進されることを明らかにしている。BRCA1–BARD1複合体は停止しているフォークの所に鎖交換タンパク質RAD51を誘導することができる。がん患者由来の細胞の中には、BRCA1–BARD1の相互作用に関わるドメインに変異が生じているものがあった。このような細胞は相同組換え修復は依然として促進できることから、抗発がん的に働いているのは相同組換え修復ではなく、BRCA1のフォーク保護活性であると考えられる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1363-4

6

エネルギー分解能を上げる

Nature 571 2019年7月25日

機械振動子の運動を記述するコヒーレント状態は、明確に定まったエネルギーを持たず、等間隔のエネルギー固有状態の量子重ね合わせである。この量子化された構造を明らかにすることは、単一フォノンのエネルギーよりも高い精度で力学的エネルギーを測定する装置が必要なため、簡単ではない。今回A Safavi-Naeiniたちは、チップ上にナノ機械圧電共振器とマイクロ波超伝導キュービットを集積したハイブリッドプラットフォームを示している。このプラットフォームでは、人工原子によって、機械振動子の運動エネルギーが感知され、そのフォノン数状態が望ましい分解能で得られる。今回の結果は、固体の機械的な物体の量子非破壊測定の実現、ひいてはナノ機械デバイスによる量子センシングのさらなる進歩につながる可能性がある。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02233-z

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1386-x

7

超伝導体における不均一な超流体の画像化

Nature 571 2019年7月25日

従来型の超伝導体はクーパー対という束縛された電子対からなり、こうした電子対は、エネルギー散逸のない流動を示す均一な超流体を形成する。それに対して、非従来型超伝導体では、クーパー対のサイズと密度がはるかに小さいため、銅酸化物超伝導体で実証されたように、不均一な超流体が形成される場合がある。今回M Allanたちは、鉄系超伝導体において非常に不均一な超流体を原子分解能で画像化し、その生成と、クーパー対に関連する準粒子の強さとが相関することを示している。今回の結果は、さまざまな物質種からなる非従来型超伝導体間で電子相に類似性があることを裏付けており、提案された手法を適用して、さまざまな量子物質の超流体密度を調べることができる。

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1408-8

8

前生物的ペプチドの妥当な合成経路

Nature 571 2019年7月25日

前生物的なものとして妥当な出発物質からペプチドを形成することで、単純な有機物構成要素と高次の生物学的機能が関連付けられる。アミノ酸からのペプチド合成経路がいくつか提案されているが、それらの基質許容性や収率には制限がある。今回M Pownerたちは、水中でα-アミノニトリルのライゲーションを通してペプチド形成が起こることを見いだしている。このペプチド形成では、生物において観察されるものと同様に、タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基を許容し、ライゲーションはNからCの方向に起こる。このライゲーションにはチオエステルが関与することから、初期地球での複雑化合物の構築には、クエン酸回路や非リボソームペプチド合成に見られるように硫黄が重要な役割を果たしたことが示唆される。

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1371-4

9

中世の気候異常と小氷期が時空間的に一貫していたことを示す証拠はほとんどない

Nature 571 2019年7月25日

古気候研究における考えには、中世は温暖で、小氷期はその名が示すように寒冷だったというような、都合の良い要約がある。しかし今回、R Neukomたちは、入手可能な古気候の証拠を評価し、中世の温暖化と小氷期、そして他の100年スケールの気候変動が時間的にも空間的にも一貫していなかったことを見いだしている。小氷期の期間における寒冷期は、ある地域では15世紀に、別の地域では19世紀に生じていた可能性がある。対照的に、最近の地球温暖化は空間的に極めて一貫しており、今回の結果もまた、過去の気候変動と比べて現在の気候の性質が特異であることを浮き彫りにしている。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02179-2

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1401-2

10

捕食性の原生生物が生み出す波の連鎖

Nature 571 2019年7月25日

原生生物スピロストマム属(Spirostomum;別名ネジレグチミズケムシ属)の繊毛虫は、大型で細長く、数ミリ秒で体長を半分未満にまで収縮でき、毒素を放出して捕食者から身を守ったり被食者の動きを止めたりする。今回M Prakashたちは、この高速収縮に付随して流体力学的な波が生じ、それが環境を介して急速に伝播し、隣接する細胞に収縮を促すことを見いだしている。著者たちは、こうした波を観察・モデル化することで、彼らが細胞間コミュニケーションの新しい形であると主張する「集団的コミュニケーション」について説明している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-02069-7

Letter doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1387-9

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