The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

周期的な高速電波バースト

Nature 582 2020年6月18日

高速電波バーストは、宇宙論的な距離にある未知の発生源に由来する(ミリ秒程度の)短い電波トランジェントである。そのうちのいくつかは反復することが分かっているが、周期性が探られてきたにもかかわらず、そうした特徴を有する反復バーストはこれまで観測されていなかった。今回D Liたちは、16.35日の周期性を示す高速電波バーストを観測したことを報告している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-01713-x

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2398-2

2

テラ電子ボルトのエネルギーで解像されたケンタウルス座Aのジェット

Nature 582 2020年6月18日

ケンタウルス座Aは、起源の明らかでない広がったX線放射を伴う近傍の電波銀河である。今回H.E.S.S.コラボレーションは、テラ電子ボルトのエネルギーでケンタウルス座Aを観測し、ジェットを解像できたことを報告している。著者たちは、X線放射が電子シンクロトロン過程に起因すると結論付けている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2354-1

3

ダイヤモンドの強靭化

Nature 582 2020年6月18日

ダイヤモンドは、並外れた硬度でよく知られているが、靭性(破壊に対する感受性)の観点では、それほど優れてはいない。材料全般において、硬度と靭性は通常トレードオフの関係にあり、片方を向上させる戦略はもう片方を低下させる。自然界には、階層的微細構造をとることによってこの明らかな二分を回避している複合材料がある。その代表例が「れんがとモルタル」のような積層構造の天然真珠層で、この構造によって高い硬度と靭性とが両立されている。今回Y Yueたちは、同様の構造コンセプトを基に、既知の全ての材料をしのぐ硬度と靭性の組み合わせを示すダイヤモンド複合材料の作製方法を示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2361-2

4

将来の北極海の酸性化に対する新たな制約

Nature 582 2020年6月18日

北極海は、将来の酸性化の影響を最も受けやすい海域と考えられているが、21世紀の酸性化の予測は、さまざま地球システムモデルで大きく異なっている。今回J Terhaarたちは、北極海の表層水の現在の密度と、人為起源の炭素インベントリーおよび同時に生じる酸性化との間に、複数モデルの創発的な関係を見いだしている。彼らは、海面密度の観測結果を適用して、RCP 8.5気候シナリオの下で21世紀末の海洋炭素インベントリーとそれに対応する酸性化を、以前の見積もりの上限に絞り込んでいる。これは、21世紀の北極海の酸性化が、以前の予測よりも深刻である可能性が高いことを示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2360-3

5

COVID-19の拡大を予測する携帯電話データ

Nature 582 2020年6月18日

N Christakisたちは今回、中国における携帯電話データを用いて、2020年1月1日~1月24日に武漢市を出たり通過したりした人々の動きを追跡した。その結果、人口流動によって、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2;COVID-19の原因ウイルス)の地理的分布および感染の相対度数の両方が、中国本土全域で最大2週間先まで正確に予測できることが明らかになった。著者たちはまた、人口流動データを用いることで、ウイルス流行の初期段階に伝播リスクの高い地域を特定できると示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2284-y

6

脳卒中における神経保護作用への概日リズムの影響

Nature 582 2020年6月18日

複数の神経保護戦略が、脳卒中の齧歯類モデルで成功しているが、ヒト臨床試験へのトランスレーショナル研究は成功していない。ヒトと齧歯類の概日リズムは昼夜が逆転していることから、今回E Loたちは、こうした臨床試験での失敗が概日リズムの影響によるものである可能性を検討した。異なる3種類の神経保護治療法を調べた結果、齧歯類の非活動期に当たる日中では顕著な保護が見られるが、活動期である夜間では保護効果がないことが明らかになった。これらの結果は、脳卒中治療のトランスレーショナル戦略の探求では、概日リズムが神経保護作用に及ぼす影響を考慮する必要があることを示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2348-z

7

培養皿でヒトの皮膚を作製する

Nature 582 2020年6月18日

ヒトの皮膚をin vitroで増殖させることのできる培養系の開発に多大な努力がなされている。しかし、そうした系では通常、ヒトの皮膚と同じ複雑さを持つ組織を作り出すことができず、組織はたいていの場合、表皮細胞と真皮細胞からなる単純な層状構造をとるだけである。K Koehlerたちは今回、ヒト多能性幹細胞由来の皮膚オルガノイドを作製したことを報告している。このオルガノイドは4〜5か月の培養により、毛包、皮脂腺、感覚神経回路などの複雑な構造が発生する。この皮膚オルガノイドを免疫不全マウスの皮膚に移植すると、ヒト有毛皮膚パッチが形成されたことは重要である。以上より、今回の研究は皮膚生体工学における重要な進歩であり、皮膚発生や疾患の研究のための貴重なツールとなり、また皮膚再建治療への強力な可能性を秘めている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2352-3

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-01568-2

8

マウスのガストルロイドはマウスの胚発生を再現し、解明の手掛かりをもたらす

Nature 582 2020年6月18日

ガストルロイドは胚性幹細胞が三次元的に集合した凝集体で、着床後の発生を模擬する。今回A van Oudenaardenたちは、単一細胞RNA塩基配列解読と空間的トランスクリプトミクス、さらに細胞のライブ画像化を用いて、マウスのガストルロイドとマウス胚を比較した。その結果、ガストルロイドにはこれまで報告されていたよりも多くの胚細胞タイプが含まれていること、胚と同様にガストルロイドでも体節形成の主要な調節因子群が発現していることが明らかになった。今回の研究によって、マウスの発生についてのさらなる手掛かりが得られ、ガストルロイドが、胚発生の解析に使えるハイスループットなin vitroモデルとして有用であることがはっきりと示された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2024-3

9

ヒトのガストルロイドはヒト初期胚発生の新たなin vitroモデルとなる

Nature 582 2020年6月18日

初期胚発生のin vitroモデルの開発は、この過程の研究に不可欠である。A Ariasたちは以前の研究で、マウスのガストルロイド(胚性幹細胞から成長させた三次元的な凝集体)を開発し、それがマウスの初期発生を模擬することを示した。彼らは今回、ヒト胚性幹細胞に由来するヒトガストルロイドの開発について報告している。このガストルロイドは、初期胚発生の主要な形態形成および分子レベルの事象を再現することが分かった。このモデルは、ヒトの初期発生に関する理解を深めるのに役立つだろう。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2383-9

10

二本鎖切断をPARで確実に起こす仕組み

Nature 582 2020年6月18日

ヒトの細胞には22対の常染色体(性染色体でない染色体)がある。減数分裂では、2本の相同染色体が互いを見つけ出し、タンパク質でできた構造中で対合すると、二本鎖切断を経て交叉が起こる。この過程は、娘細胞に相同染色体が確実に1本ずつ分配されるために必要である。しかし性染色体対の場合はこれらと違い、雄ではX染色体とY染色体という異なる染色体からなる。偽常染色体領域(PAR)はX染色体とY染色体の両方に見られる小さな領域で、この2つの染色体は、この領域によって対合できる。では、対合した染色体で、この狭い領域に交叉が集中するのはどのような仕組みによるのだろうか。今回S Keeneyたちは、二本鎖切断が起こるよりも前に、クロマチンではいくつかの現象がシスとトランスに働いて高次構造レベルでPARを変化させ、組換えの準備を整えることを明らかにしている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2327-4

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-01483-6

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