Nature ハイライト

Cover Story:山頂:気候変動によって高地の植物種の豊かさが増す仕組み

Nature 556, 7700

表紙は、アルプス山脈東部のピッツ・ラガルプのがれ場に咲いたアルパインロックジャスミン(Androsace alpine)である。山々は、人間の活動による気候変動の下で、極めて急激な温暖化に直面している。今回M Steinbauerたちは、ヨーロッパ各地の山岳302座の頂上における植物種の豊かさが、過去145年にわたってどのように変化したか調べている。著者たちは、植生調査結果を用いて、この期間にはヨーロッパの山頂の大半で植物種の豊かさが大きく増したことを見いだした。しかし彼らは、増加速度が時間と共に上昇しており、最近の10年間では、50年前と比較して種数が5倍に増えていることに注目している。今回の分析によって、植物種の豊かさの増加幅と温暖化速度の間に正の相関があることが明らかになり、人間の居住地から離れた場所でも気候によって生じる生物変化が加速していることが示唆されている。

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