Nature ハイライト

Cover Story:満ちてくる潮:今後500年間の海水準上昇への南極の寄与を推定するモデル

Nature 531, 7596

グリーンランド、ヘルハイム氷河の末端氷崖(2014年8月に撮影)。
グリーンランド、ヘルハイム氷河の末端氷崖(2014年8月に撮影)。 | 拡大する

Credit: Knut Christianson

表紙は、地球観測衛星ランドサット8号が2016年1月9日に撮影した西南極のスウェイツ氷河の末端の氷崖を自然色でモザイク状に表したものである。R DeConto と D Pollardは今回、鮮新世と最終間氷期の海水準推定値に対して較正された、新たに改良された氷床数値モデルを用いて、さまざまな温室効果気体シナリオを想定した場合の南極大陸の今後5世紀にわたる進化状況を推定した。このモデルによって、南極氷床が海水準にほぼ全く影響しない場合から、2100年までに1 m以上、2500年までに15 m以上の海水準上昇を生じさせる場合まで、さまざまな可能性が示された。この驚くほど高い最高推定値は、温室効果ガスの排出量が低下せず、これまで過小評価されてきた機構、つまり表面の融水による氷の破砕と大規模な氷崖の崩壊が起こった場合に生じるものである。一方、最も低い推定値は、強い気候緩和シナリオが、上昇した海水準に社会が直面する可能性を大幅に低減できることを明らかにしている。

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